僅かな隙と判断ミスで勝負が決まる。


即断即決こそ戦場のセオリー。


一瞬で間合いを詰め、二本の刃を振りかぶる。


だ、イクトの刃は氷蒼の壁によって防がれた。


目の前に突如現れた氷の壁。


刀身から冷気が伝わり、触れて間もないというのにイクトの腕に冷たさを感じた。


「クソッ」


一歩壁から離れ、右に手にした剣を横凪に払う。


氷壁は斜めに断たれると、氷塊が滑り落ちるとほぼ同時に手に得物を掴んだレインが飛び出してきた。


レインの瞳と同じ、不純物がない透き通った蒼の剣。


突然のことに動揺したイクトが、すぐに剣を目の前でクロスさせてレインの攻撃を防ぐ。


鉄と氷がぶつかる。