座るように促され、老人の前の椅子に腰かける。


口火を切ったのはオレオだった。


「お初目にかかりまして光栄です。僕の名はオレオ=カリバーン。こっちがコーズでこちらがマリです」


「よく来たな。その他達のことを待っておった。この子はレイン、訳あって儂が預かっておる。レインお客様に茶を……レイン?」


アモスはレインに声をかけるが、少年は老人の側に立ったままで、無言でオレオに熱い視線を送っていた。


それに気付いた老人は肩を竦めると、少年の頭を軽く小突く。


ハッと我に帰り、少年は「すみません」とオレオに頭を下げた。


「済まぬ。この子は五年前魔物に襲われそうになった所を勇者の一族に助けられてな。それ以来勇者にゾッコンなのじゃ」


「へー。でもよくオレオが勇者ってわかったな」


コーズが口を開くや否や、レインは聞こえるように大きな舌打ちをかます。


「嘔吐物の分際で僕に話しかけるな汚らわしい」