時が止まった空間に一石を投じたのは、奥から聞こえた老人の声であった。


「レイン、お客様に失礼だろう」


キュルキュルと車椅子を動かす老人。


真っ白な毛髪を後ろに流し、淡い青眼の双眸がこちらを捕える。


柔らか笑みを笑みを向けるが、三人はその場から動くことが出来なかった。


オレオとコーズはこの感覚を覚えている。


圧倒的な威圧感。溢れんばかりの覇気。


そして、体内から漏れ出す計り知れない魔力。


「えー? わかりました……」


渋々オレオから離れる少年。


レインと呼ばれた少年は老人の元に駆け寄ると、背後に回って車椅子の取ってを掴んだ。


少年は離れたが、それでもレインはその場に倒れ込んだまま動かない。