「コーズ!」
悲痛な悲鳴が木霊する。
十本の剣を咥えた身体は、鮮血を垂らしながらゆっくりと地面に倒れた。
広がる鮮血。
イクトは口の両端を不気味に吊り上げると、さぞ悲しみと絶望に歪んだ表情をしているであろう少女に視線を合わせた。
マリは俯いたまま肩を小刻みに震わせている。
所詮はガキの集まりか。勇者の従者も対したことがないな。
「十刺連撃(ジュッシレンゲキ)十刀流を極めた私にしか出来ぬ芸当だ。さて、お次はお譲ちゃんの番だ」
少女の絶望を煽るように、一切の感情を込めずに男は口にする。
戦意を無くした少女を始末するに武器など必要ない。
イクトは右手を掲げ、マリの顔に照準を合わせる。
「このまま絞め……」