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「もお!!なんでこんな道通らないといけないのよ。」

「仕方ないだろう。嫌ならヴィオラは来なければよかっただろう。」

薄暗い山のなか二頭の馬が少し離れて歩いている。

その先に歩いている方の上に男が、後の方に女が乗っていた。

どちらともマントをかぶっており姿がよく見えないが、声からしてまだ20歳前後だとわかる。

「あんな所で残っているとか、ありえないもん。それよりあたしも会って見たかったんだもの、モニカ嬢に。舞踏会や社交的場にはほぼ欠席で、たまに顔を出したかと思えばすぐに帰っちゃうし。おまけにフィオーラは面会を頼んだって拒否するしで、全く会ったことがないんだもの。しかも、アイツ!自分に妹がいること隠してたし!!」

かなり怒って憤慨している女に先を行く男は言った。

「まあ、そうだよね。アイツ、俺にも黙っていたんだよ。妹がいるってこと。数年前なんだか不思議な噂を聞くものだから問いただしたらやっと吐きやがったくらいだし。」