今日はストーカー女がおらず、年配の女が番台を務めていた。

僕としても、都合がいい。

銭湯から出ると、渚と鉢合わせする。

髪が少し濡れているところ、まだ乾かしきっていない。

「今度から余計な気は使うな」

「はい」

風邪を引かれては余計な時間を使う。

僕達は家に帰る。

家に帰れば、ドライヤーで髪を乾かし始めた。

僕は座り込み、外の様子を見ていた。

季節が変わっても、状況は変わらない。

変わったといえば、目の前の渚と二人暮しをした点だ。

それに、何の意味があろうか。

幾ら、戦い続けたところで本来の目的に到達できなければ、意味はない。

だが、幾らでも戦い続けなければ強くはなれない。

強くなるとは、怠けることでは到底手に入らない。

逃げ道は必要ない。

闘う事が復讐において必要な全てだ。

「耕一さん」

渚の声により意識を戻し、窓から視線を移した。

家には机がなく、畳の上に置かれた晩飯。

白飯に味噌汁、軽い炒め物だ。

「行儀が悪くて、すいません」

「どうでもいい。いただきます」

手を合わせて、食事を勧める。

不味くはない。

あくまで普通だ。