「今更、何をしにきた?」

「そんな怖い顔じゃお話になる気も起きませんわ」

「聞く気はない」

僕の目的は他の異星人ではない。

乾龍一という爆弾魔だ。

渚が母親であろうが、異星人が何の目的で地球にこようが、どうでもいい。

渚は必要なパートナーである事は間違いない。

黙っている事は多いがな。

「随分と、他の事に興味がないですのね」

「お前の話は、事実であろうがなかろうが下らない。話したければ犬にでも語っていろ」

事実は、乾が夕子を殺したという事だけで十分だ。

「無礼、下品、極まりないですわ」

「まあまあ、山女さん、彼はああいってるけど、本当は知りたいんやって」

「そうかしら」

「耕一さん、また後日、話に行くわ」

山女を宥めながら、男は闇の中に消えていった。

「下らない」

「耕一さん、あの」

落ち込んだ顔が、見える。

今まで隠していた事がばれたのだから、気落ちするのは当然か。

「何だ?」

「私、は」

「僕の母親か」

「はい」

「ならば、家にいた母親は何者だ?」

「彼女は、私の子孫であり、知り合いです」

「今までの環境が、偽者だったという事か」

「いえ、あなたの家族は、彼等で、間違いありません」

「だが、お前は僕の母親なんだろう?」