―ピリリリッ


愛梨の唇まであと2cm


俺の携帯がけたたましく鳴った


驚いて目を開いた愛梨とバッチリ目が合った



「ひゃわっ!!」


「あ…わり…」


スルリと俺の腕を抜けて、距離をあける愛梨


…なんかちょっと寂しいんですけど



「ああああきに…で、電話…」


「お、おう」


あまりにも真っ赤な愛梨を見たら、こっちまで恥ずかしくなった



「はい…もしもし」


『あ、藤原さんですか?森谷です』



電話の相手は森谷さんだった



『あの…そろそろ時間が…』


「へ?あ!!!すいません!!」


腕時計を確認すると開始時間まであと30分だった


直前の打ち合わせとかあったのに!!



俺は電話を切ると、まだ顔を押さえている愛梨の手をとった



「わっ!!」


「走れっ!遅刻するぞ!だれかさんのせいだからな!」


「あ、秋兄でしょ!」



一瞬、顔を曇らせたかと思いきや、また照れたように笑う愛梨


ほんとおもしろいヤツ