要は緊張していた。

人間恐怖症的な。

男の人はみんな武治のような人ではないのか?

怖いのだ。

洋子先生は毛深いおじさんと話していた。

ひそひそと。

要はボーっとしていた。

すると

「木更津のね、田舎町に【ほたる】っていうおうちがあるの。そこで暮らそう。」

「要のおうちより田舎?小さい?家から遠い?」

「すごぉくすごぉく遠いよ。でもね、すごく広い。」

「パパとママは?」

「1人で。やさしいひとばかりだよ。」

行く。それが要の出した答えだった。

要は何が何だか分からないはず。

行く。興味本位かもしれない。

しかし洋子先生も毛深いおじさんもそのほうが要のためだと..

武治も清子も反発はしなかった。

攻めもせず攻められもせず理由も聞かず

「分かりました。」

それだけだった..