12月の冬のことだった。
要はいつものように500円玉を握りしめコンビニに出掛ける。
「要ちゃん。今日もコンビニかい?今日は寒いよ。寄ってく?」
「良い。パパに怒られるから。」
近所のおばさん。町の母と呼ばれる山田さん。
近所の駄菓子屋で【お菓子な山田】の経営者。
武治は家でTV。家でDS。家でWII。
引きこもりがちだった。
髪はぼさぼさ。気に食わないことがあると暴れ、
要を嫌った。
代わりに清子が働き、家では要と武治と要子の3人だった。
武治は要を嫌った。
最初は清子も要をかばった。
でも...
「あなたかきちんとしてないからよ。一人で何でもしなさい。」と清子。
「妹のくせに生意気よ。」要子。
要子は要よりも早く生まれ、早くしゃべり、早く歩いた。
要は5歳。
朝も昼も夜もコンビニのご飯。
たまに山田さんがご飯をごちそうしてくれる。
何度も何度も捨てられた。
粗大ごみのごみ捨て。
近所の河原。
神社。
あげれば幾つも幾つも。
しかし子供は、要は純粋だ。
捨てられても殴られても家に戻ってくる。
ただいまって。
近所の人に「そのあざどうしたの?」って言われても
「転んだ。」お決まりだ。
そんなある日..