「無理。ごめんな」
二人っきりの教室に侑汰の声がする。
「…わかった。こっちこそ、ごめんね?」
「いや…」

“ガラッ…”

「亜衣、どーだった?!」
親友の春(しゅん)と綾実が言った。
「だめだったよぉぉ-…」
教室で我慢していた涙が一気にあふれ出す。
「そーだったんだぁ…。元気だして!」
と、春。
「亜衣には次があるよ-!」
と、綾実。
「みんな、ありがとぉ…!」




あたしはさっき1年間片思いした
サッカー部の侑汰にフラレた。

結構、好きだったんだよなぁー。
侑汰のこと…。





―――翌日





「駒田って、宮田にコクったんだぁー?!」
クラスの男子にもう昨日のことが広まってる。
侑汰が言ったのかなぁ…?

「侑汰のやつ、昨日のこと言ったのかなぁー?!」
春が隣で言う。
「どうだろー…」
「亜衣の気持ち、知らずに言うとかひどくない?」
「…うん」

正直…昨日のことは内緒にしといて欲しかった…。

「うち、あいつに言ってくる!」
「え?!春?!ちょっと!」

あたしの言葉も聞かずに春はイスに座っている侑汰の元へ向かった。

「おまえ、昨日のこと男子に言ったんじゃないだろうな…?」

春の目は殺意に満ち溢れていた。

「春、やめて!」

あたしは侑汰のむなぐらを掴む春の手を掴んだ。

「亜衣は悔しくないのっ?!」
「そ、それは…。で、でも!もう終わったことだし!侑汰があたしと付き合うのが嫌だったから…」
あたしも負けずに春の手を掴む腕に力を入れた。
「ちょっと!二人ともやめなって!」
そこに綾実が入った。
あたしは綾実の言葉で冷静になった。

「ホント…ばっかじゃねぇの?女って…」
侑汰は春の手を振り払いそういった。
「ふっざけんじゃねぇよ!」
“パンッ!”
春が侑汰の頬をビンタした。
「いって…」
「ちょっと!春!」

何やってんの…?春…。