雲の上から見える五月の太陽は、地上で見るよりずっと輝いて見え、まるで真夏のように眩い。
　そんな日差しを浴びながら四人を乗せた空飛ぶ魔法の絨毯は、風の如く縦横無尽に空を駆け抜ける。

　恐らく飛行機よりも速いであろう、そのスピードでも当の本人達は、あまり体感速度を感じることない。

例えるならオープンカーに乗っているようなものだ。

　吹き抜ける風を切り裂くような感覚を全身で感じながら、空兎は実に爽快な気分になっていた。

「ん～！ 気持ち～☆ ねっ、せっちん！」

「あ、あぁ･･･」

　風になびく、栗色の長い髪を帽子ごと片手で押さえながら話しかけてきた空兎に、仙太は歯切れ悪く答える。

　最初こそ、慣れない乗り物に戸惑いはしたものの、それも徐々に慣れつつあり今では幾分、快適な気分になっていた。

　旅行をする人が多いゴールデン・ウィーク。
今頃、地上では交通渋滞が凄まじいものになっているだろうことを考えると、このスイスイと飛ぶ空の旅は快適という他ない。

　問題は、この旅の目的だ。

(宝を探すための“鍵”を探すって･･･ＲＰＧじゃあるまいし･･･)

　内心で苦笑する仙太だった。
そんな折、ジョーが微笑ましいという感じで声を掛けてくる。

「空兎ちゃん、いつも元気で楽しそうですね」

「えぇ、まぁ･･･頭に『無駄に』ってのが付きますけど」

　仙太の返しに、ジョーが思わずクスクスと笑うと、空兎がそれに気付いた。

「あ！ ジョーさん、何、笑ってんのぉ？ あ、せっちんがアタシのこと、変な風に言ったんでしょ！？ どーなの！？せっちん！」

　眉を吊り上げて、仙太に詰め寄ると、ジョーが「いえいえ」と、笑いを堪えながら手を振る。

「何、仙太くんが面白いギャグを言ったもので、つい」