「うん、そんな感じ! ヒーロー君、良い勘してるわぁ。まぁ、それと違って魔法は目で視えないから第六感でも働かせて“感じる”事でしか見分けができないけどね。
 ともかく、“本”に施されている“封印”と“鍵”は対となる存在にして、二つで一組の魔法。その一つは私たちの手元にあるわ。
 ってことは、どうすればいいか、せっちゃん、わかる?」

 まるで学校の先生のように、不意に問いかけてきたセレビアに戸惑いながらも、仙太は彼女が話したことを整理して、ゆっくりと答えた。

「つまり、本に施されている“封印”の感覚を感じ取って、それを手掛かりに同じ感覚がするもの・・・つまり“鍵”を探すってことですか?」

「よくできました♪」

 そう言ってウィンクするセレビアに、仙太は少し照れに頬を朱に染めた。
 ちなみに仙太の隣の空兎はすでに昼食を食べ終わり、いつの間にか注文したジャンボパフェに舌鼓を打ちながら小難しい話からは逃走の身である。

 それを仙太は目の端で捉えておきながらも、もういちいち突っ込む気になれず、セレビアに質問を続けた。

「でも、魔法を感じるっていっても、普通の人には無理なんじゃ? 少なくとも僕はできませんよ」

「安心して。感じることはできなくても、ちゃんと皆にもわかるように“鍵”の在処を差し示す方法はあるの。後で見せるわ。さっきの話は予備知識として知っておいて欲しかったわけ」

 そう言いながら、セレビアはカップのコーンスープを、上品に飲み干し、それをテーブルに置いた所で今度はジョーが質問してきた。

「僕も少し質問なのですが、魔法で創られた“鍵”というのは、どのようなものなんですか? 僕らが普段使っているドアを開けるときの鍵みたいな形のものなのでしょうか?」

 それを聞いてセレビアは「それが問題なのよ」と言って、腕を組みながら、椅子の背もたれに体重を預けた。

「もちろん、皆が想像している普通の鍵の形をしたものはあるわ。けど、結局は創造者の好みやセンスで、色々違うの。中には動物や人の形をしたものもあるし、剣や槍といったものもある。規模が大きいもので言えば、建造物なんてものもあるわ」