数十日という日が流れ、ついに訪れた五月三日、水曜日。
そのゴールデン・ウィーク1日目の朝がやってきた。
空兎はいつにも増して、たらふく朝食を食べ、それに呆れる仙太と、微笑ましく眺めている紗恵美。
三人揃った時の甲斐浜宅の朝食風景は、もはやこれが定番だった。
「というか、空兎。朝からよくキムチとか食べれるな」
今、空兎の茶碗には山なりに盛られている熱々ご飯の上にたっぷりのキムチがトッピングされている。空兎曰く、『ご飯の赤い富士山盛り』らしい。
「キムチは食欲増進するのよ! 一日の元気の源になる朝に食べるのが一番じゃん!」
「それ以上、食欲増進するな、元気になるな・・・・・・」
エンゲル係数を気にしてか、医者の息子らしくない発言をする仙太。
「あら、そんなこと言っちゃダメよ、仙ちゃん。健康が一番なんだから」
医者だけに最もな発言をする母親、紗恵美には何も返せない仙太だった。
「だよね! 叔母さん! よぉーし、早速、おかわりーっ! ん~、赤いだけに食欲三倍!」
(・・・・・・・・・マジですか?)
本当に三倍になったら、1ヶ月分米が消えるであろう、その恐怖に、仙太は戦慄した。
そんな空兎を見つめながら食事を終えた紗恵美は、お茶を啜り、同じく食事を終えた仙太に羨ましそうに言った。
「それにしても、ジョーさんと旅行って、楽しそうね」
「あ、うん、まぁ・・・・・・」
少し戸惑いながら、仙太が返す。
今日から始まる“鍵”探しの冒険は『ジョーと一緒にぶらり旅行』ということで、紗恵美の外泊許可を貰っている。
入院していたジョーの担当が紗恵美だっただけに、二人の繋がりは深い。
最初こそ、勝手に病院を飛び出して紗恵美を困らせたジョーだが、彼の元々の人の良さが良好な関係を築いていた。
ちなみにジョーはあれから1週間程で退院している。銃で撃たれ、何十メートルもの高さから落ちて、本来ならば半年以上は入院生活を余儀なくされる程のものだが、その実、そこまでの重傷に至っておらず、回復も異常に早かった。
頑丈さと健康だけが取り柄のヒーローは、やはり伊達ではないようだ。
そのゴールデン・ウィーク1日目の朝がやってきた。
空兎はいつにも増して、たらふく朝食を食べ、それに呆れる仙太と、微笑ましく眺めている紗恵美。
三人揃った時の甲斐浜宅の朝食風景は、もはやこれが定番だった。
「というか、空兎。朝からよくキムチとか食べれるな」
今、空兎の茶碗には山なりに盛られている熱々ご飯の上にたっぷりのキムチがトッピングされている。空兎曰く、『ご飯の赤い富士山盛り』らしい。
「キムチは食欲増進するのよ! 一日の元気の源になる朝に食べるのが一番じゃん!」
「それ以上、食欲増進するな、元気になるな・・・・・・」
エンゲル係数を気にしてか、医者の息子らしくない発言をする仙太。
「あら、そんなこと言っちゃダメよ、仙ちゃん。健康が一番なんだから」
医者だけに最もな発言をする母親、紗恵美には何も返せない仙太だった。
「だよね! 叔母さん! よぉーし、早速、おかわりーっ! ん~、赤いだけに食欲三倍!」
(・・・・・・・・・マジですか?)
本当に三倍になったら、1ヶ月分米が消えるであろう、その恐怖に、仙太は戦慄した。
そんな空兎を見つめながら食事を終えた紗恵美は、お茶を啜り、同じく食事を終えた仙太に羨ましそうに言った。
「それにしても、ジョーさんと旅行って、楽しそうね」
「あ、うん、まぁ・・・・・・」
少し戸惑いながら、仙太が返す。
今日から始まる“鍵”探しの冒険は『ジョーと一緒にぶらり旅行』ということで、紗恵美の外泊許可を貰っている。
入院していたジョーの担当が紗恵美だっただけに、二人の繋がりは深い。
最初こそ、勝手に病院を飛び出して紗恵美を困らせたジョーだが、彼の元々の人の良さが良好な関係を築いていた。
ちなみにジョーはあれから1週間程で退院している。銃で撃たれ、何十メートルもの高さから落ちて、本来ならば半年以上は入院生活を余儀なくされる程のものだが、その実、そこまでの重傷に至っておらず、回復も異常に早かった。
頑丈さと健康だけが取り柄のヒーローは、やはり伊達ではないようだ。