「あっ!」
教室に戻るなり、空兎は何かを思い出し、来た道を引き返そうとする。
「く、空兎! もうチャイム鳴るよ!?」
突発的な空兎の行動に狼狽する仙太。空兎は首だけ振り向いて叫ぶ。
「ジョーさんも手当てしなきゃいけないのっ!」
「・・・・・・・・・え?」
訳の分からないその返しに仙太は呆然とした頃には、空兎の姿は見えなくなっていた。
§
グランドに降りた空兎は信じられない光景に目を丸くした。
「・・・・・・怪奇! 消えたジョーさん!」
空からタイブした空兎を、身を呈して助けてくれ重症を負ったはずのヒーローの姿はそこにはなかった。ちなみに激突した跡はちゃんと残っている。
「もしかしてこれが学校七不思議って奴!?」
一切関係ないよ、とばかりに一限目開始を知らせるチャイムが鳴り響く。
謎が残って少し気持ち悪いが、反射的に空兎の足は教室に向かって駆けていた。
やっぱり遅刻はしたくないらしい。
しかし、やはり消えたジョーがよほど気になるのか、教室に戻るなり珍妙に苦悩する空兎。
そんな姿を隣席の仙太は午前の授業中、まざまざと見せつけられた。
しかし、その午前中の授業が全て終わり、昼休みになると、
「お悩み中断! レッツ! 昼メシ!!」
と、いった感じで、昼食に全力を注いだ。ちなみに空兎は92円しか所持金がないため、仙太からお金を借りて、カレーライス大盛りに舌鼓を打った。
そして食後、空兎と仙太は図書室に向かった。「ついでに本を返しに行こう」という仙太の提案だ。
空兎は手放したくない顔をしたが、返却日なので渋々従った。お腹の辺りを抱えて若干猫背なのは、カレーの食べ過ぎで腹痛を起こしたのではなく、そこに隠し持っている本が名残惜しいからだ。
(つーか、ずっとそこに入れてたのかよ・・・・・・)
空兎の“本”に対する執着心を改めて思い知る仙太だった。
程なくして図書室に着くと、隙を見て逃走しようとした空兎の後ろ襟を、仙太はガッチリ掴んで引き留め、図書室の戸を開いた。
教室に戻るなり、空兎は何かを思い出し、来た道を引き返そうとする。
「く、空兎! もうチャイム鳴るよ!?」
突発的な空兎の行動に狼狽する仙太。空兎は首だけ振り向いて叫ぶ。
「ジョーさんも手当てしなきゃいけないのっ!」
「・・・・・・・・・え?」
訳の分からないその返しに仙太は呆然とした頃には、空兎の姿は見えなくなっていた。
§
グランドに降りた空兎は信じられない光景に目を丸くした。
「・・・・・・怪奇! 消えたジョーさん!」
空からタイブした空兎を、身を呈して助けてくれ重症を負ったはずのヒーローの姿はそこにはなかった。ちなみに激突した跡はちゃんと残っている。
「もしかしてこれが学校七不思議って奴!?」
一切関係ないよ、とばかりに一限目開始を知らせるチャイムが鳴り響く。
謎が残って少し気持ち悪いが、反射的に空兎の足は教室に向かって駆けていた。
やっぱり遅刻はしたくないらしい。
しかし、やはり消えたジョーがよほど気になるのか、教室に戻るなり珍妙に苦悩する空兎。
そんな姿を隣席の仙太は午前の授業中、まざまざと見せつけられた。
しかし、その午前中の授業が全て終わり、昼休みになると、
「お悩み中断! レッツ! 昼メシ!!」
と、いった感じで、昼食に全力を注いだ。ちなみに空兎は92円しか所持金がないため、仙太からお金を借りて、カレーライス大盛りに舌鼓を打った。
そして食後、空兎と仙太は図書室に向かった。「ついでに本を返しに行こう」という仙太の提案だ。
空兎は手放したくない顔をしたが、返却日なので渋々従った。お腹の辺りを抱えて若干猫背なのは、カレーの食べ過ぎで腹痛を起こしたのではなく、そこに隠し持っている本が名残惜しいからだ。
(つーか、ずっとそこに入れてたのかよ・・・・・・)
空兎の“本”に対する執着心を改めて思い知る仙太だった。
程なくして図書室に着くと、隙を見て逃走しようとした空兎の後ろ襟を、仙太はガッチリ掴んで引き留め、図書室の戸を開いた。