「まったく……」

「え? なんか言った? せっちん」

「いや、何も」

 空兎の手を振り解いて仙太は、空兎の全力に負けじと全力で走る。
 距離がだんだんと縮まり、二人はやがて並行に並んだ。

 すると、彼女のショルダーバックにぶら下がっている数々のキーホルダーやマスコットの中に、一際輝く“蒼い鍵”を仙太は見た。

 不思議と、この危機的状況が何とかなりそうな気がしてきた。
 ただの現実逃避といわれればそうかもしれないが、実際、以前にもこんな危機的状況でもなんとかなっている。


 走り続ければ、きっと………。


 そう、物思いに耽っていた仙太に、突風の如く空兎の声が飛び込んでくる。