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 朝早くから緋上ジョーは、墓を磨いていた。
 随分とコケにまみれていたが、ジョーが念入りに磨いたためか見違えるほどに綺麗となった。

「ごめんね、長いこと来れなくて……」

 最後に花束を供えて静かに手を合わせる。
 後ろに気配を感じたが振り返らない。

 気配の主を知っているからだ。

「辛気臭い顔ね、ヒーローくん」

「……そりゃまぁ、こういう場所ですから」

 と、伏せていた目を開けて、ようやく気配の主に振り返る。
 若干の呆れ顔をしたセレビア=J=ダルクがそこにいた。

 そのセレビアの目が、墓の方へと向けられる。

「……妹さんの墓?」

「………はい」

 ジョーは、そう答えると墓の方へと視線を向けて語り始める。

「僕、ここへ来たら何だか妹の死を受け入れてしまった気分になったようで、ずっと放置――――」

「いいわよ、そんな話……」

 だが、その語りをセレビアが断ち切った。
 ジョーが振り返ると、いつの間にか彼女は背を向けていた。

「あなたはヒーローなんでしょ? そんな弱いところ見せちゃダメよ」

「………ヒーローだって、弱いところはありますよ」

「そうね……。でも、完全無欠のヒーローなんかより、そんなヒーローの方が好きよ」

 そこでセレビアは振り返って妖艶に微笑んだ。
だが、彼女のが何が言いたいのか理解ができず目をパチクリさせてしまうジョー。

 セレビアは、むっと顔を豹変させて怒鳴った。