その声を発したのはクヲンではなかった。低く、よく通ったその声は湖畔の森の中から聞こえてきた。
薄暗い木々の中からその声の主―――灰山が姿を見せる。
決して隙を見せないその眼光は、仙太を萎縮させたが、空兎には通じない。むしろそれを真正面で受け止めている。
「詳しいのね」
「お前たちのことは一通り調査済みだからな……」
灰山は口元を誇らしげに歪めた。その口振りからジョーは、自分の事も含まれていると直感した。そうでないと、これまでの彼らの行動はあまりにも計画的過ぎる。
ヒーローや魔法使いが、彼らが“神杯”を手に入れるための障害となることが予想されたからこそ抹殺も企てたのだろうと、ジョーは推測した。
(そこまでして彼らが“神杯”を手にしたい理由って、何なんでしょうね……)
興味にも似た疑問がジョーの中で強くなる中、灰山は、セレビアに詰め寄った。
「ってことは、やっぱりお前がボス言ったあの鍵穴云々は、大ボラってわけか? あぁん?」
「えぇ、そうよ」
躊躇いなくセレビアが返す。そしてまた、すぐに続けた。
「でも、今度は本当よ。誓ってもいいわ。少なくともそこの堕天使くんよりかは嘘つきではないつもりよ」
「……嫌味っすか?」
「そのつもりよ」
クヲンのぼやきにも、セレビアはキッパリと返した。そして、また灰山と視線を合わせるとはっきりと告げる。
「でも、故郷に帰っても、“本”の解除方法に関する資料があるとは限らないわ」
「はっ! 結局曖昧なんじゃねぇか! 話にならねぇな!」
薄暗い木々の中からその声の主―――灰山が姿を見せる。
決して隙を見せないその眼光は、仙太を萎縮させたが、空兎には通じない。むしろそれを真正面で受け止めている。
「詳しいのね」
「お前たちのことは一通り調査済みだからな……」
灰山は口元を誇らしげに歪めた。その口振りからジョーは、自分の事も含まれていると直感した。そうでないと、これまでの彼らの行動はあまりにも計画的過ぎる。
ヒーローや魔法使いが、彼らが“神杯”を手に入れるための障害となることが予想されたからこそ抹殺も企てたのだろうと、ジョーは推測した。
(そこまでして彼らが“神杯”を手にしたい理由って、何なんでしょうね……)
興味にも似た疑問がジョーの中で強くなる中、灰山は、セレビアに詰め寄った。
「ってことは、やっぱりお前がボス言ったあの鍵穴云々は、大ボラってわけか? あぁん?」
「えぇ、そうよ」
躊躇いなくセレビアが返す。そしてまた、すぐに続けた。
「でも、今度は本当よ。誓ってもいいわ。少なくともそこの堕天使くんよりかは嘘つきではないつもりよ」
「……嫌味っすか?」
「そのつもりよ」
クヲンのぼやきにも、セレビアはキッパリと返した。そして、また灰山と視線を合わせるとはっきりと告げる。
「でも、故郷に帰っても、“本”の解除方法に関する資料があるとは限らないわ」
「はっ! 結局曖昧なんじゃねぇか! 話にならねぇな!」