日がオレンジ色に染まり、その輝きが甲斐浜家の居間の卓袱台を照らす。

 その上には、壊れた仙太の携帯電話が一つ置かれていた。

 そしてそれを重しとしてメモ用紙が一枚挟まれている。

 そこには、空兎と仙太が紗恵美宛にメッセージが書かれていた。


<出張お疲れさま! ちょっと出かけてくるね☆ 帰りは何時になるかわかんないけど必ず帰ってくるからね☆★☆ by空兎♪>


<冷蔵庫にカレーとサラダがあるから食べてください。 仙太より>


 まるで少し遠くへ出かけるような置き書きだった。

 空兎と仙太がこの書き置きを残したのは、今から約三時間前である。


 そして、今、空兎達は、セレビアの空飛ぶ魔法の絨毯で、約束の場所へと辿り着いた。