「私、どうしてもクヲンさんの本当のことが知りたいんです」
「本当のこと?」
そう聞き返したのは仙太だった。
「はい。話を聞いている限りではどうもクヲンさん。その組織のために“神杯”
でしたっけ? それを探してる風には見えないんです」
「まぁ、正確にはあなたのためってことになるんでしょうけど、確かに妙な行動が彼には多いわね」
改めてクヲンの行動を思い出すセレビア。
偽と言って、実は本物を空兎に渡したハットという点。ジョーの脱走を手助けした点。
どれも組織としては損失にしかなりえないものだ。
「ひょっとしたら空兎さんも本当はそれを確かめたかったんじゃありませんか?」
マリィの言葉に全員の視線が空兎に集まる。
空兎は一瞬、言葉に詰まりながら、
「それも、あるかな……でも、本命は“奇跡”だよ」
と、答えた。
「わかりました。それで、私もご一緒していいですか?」
マリィの確認に、空兎は力一杯頷いた。
「でも、まだ封印されたページの解放する方法すら分からないのに“奇跡”を叶えるなんて、気が早いわね」
セレビアは嘆息するが、空兎は鼻息を荒くして言う。
「でも、“本”と“鍵”は手元にあったほうがいいでしょ! それに“本”は元々学校の備品だし、“鍵”───ううん、キィはアタシ達がゲットしたんだよ! 取り返すのは当然だよ!」
「なるほど。大義名分は我らにあり、ですね」
「それよ、ジョーさん!」
楽しそうな空兎の表情は、これから危険な場所に赴くことなど微塵も感じさせない。仙太の心の中で迷いが生じ始めた。
それでも、まだ空兎を止めたいという気持ちの方が強い。
「大義名分があっても、やっぱり僕は賛成できないよ」
その言葉に先ほどまでの迫力こそないが、想いは確かに込められていた。
けど、どんな言葉をかけても、空兎は聞かないだろう。仙太の想いが伝わらないのではない。その想いよりも強い決意が今の空兎には感じられる。
それは、ある種、覚悟かもしれないと、仙太は思った。
「本当のこと?」
そう聞き返したのは仙太だった。
「はい。話を聞いている限りではどうもクヲンさん。その組織のために“神杯”
でしたっけ? それを探してる風には見えないんです」
「まぁ、正確にはあなたのためってことになるんでしょうけど、確かに妙な行動が彼には多いわね」
改めてクヲンの行動を思い出すセレビア。
偽と言って、実は本物を空兎に渡したハットという点。ジョーの脱走を手助けした点。
どれも組織としては損失にしかなりえないものだ。
「ひょっとしたら空兎さんも本当はそれを確かめたかったんじゃありませんか?」
マリィの言葉に全員の視線が空兎に集まる。
空兎は一瞬、言葉に詰まりながら、
「それも、あるかな……でも、本命は“奇跡”だよ」
と、答えた。
「わかりました。それで、私もご一緒していいですか?」
マリィの確認に、空兎は力一杯頷いた。
「でも、まだ封印されたページの解放する方法すら分からないのに“奇跡”を叶えるなんて、気が早いわね」
セレビアは嘆息するが、空兎は鼻息を荒くして言う。
「でも、“本”と“鍵”は手元にあったほうがいいでしょ! それに“本”は元々学校の備品だし、“鍵”───ううん、キィはアタシ達がゲットしたんだよ! 取り返すのは当然だよ!」
「なるほど。大義名分は我らにあり、ですね」
「それよ、ジョーさん!」
楽しそうな空兎の表情は、これから危険な場所に赴くことなど微塵も感じさせない。仙太の心の中で迷いが生じ始めた。
それでも、まだ空兎を止めたいという気持ちの方が強い。
「大義名分があっても、やっぱり僕は賛成できないよ」
その言葉に先ほどまでの迫力こそないが、想いは確かに込められていた。
けど、どんな言葉をかけても、空兎は聞かないだろう。仙太の想いが伝わらないのではない。その想いよりも強い決意が今の空兎には感じられる。
それは、ある種、覚悟かもしれないと、仙太は思った。