キリキリと痛む鼓膜に涙しながら、空兎は耳に指を突っ込んで反撃した。

 だが、仙太が怯むことはない。

「わかってんのか! 相手は銃とか刀とか平気で使うような奴らなんだぞ!」

「マフィアかな?」

「どうでもいいよ! とにかくそんな危険な奴らとこれ以上関わったら命が危ないだろ!?」

 仙太のその怒声で、室内が静寂に包まれた。

 誰もが仙太が空兎を想う強い気持ちが理解できたから反論ができないのだ。

 しかし、空兎は反論する。

 口に微笑みを浮かべて……。

「大丈夫! 絶対に帰ってくるから!」

「………………」

 仙太が無言の圧力をかけても、空兎の笑顔が崩れることはなかった。

 無言が続く仙太の肩に、ジョーの手が置かれる。

「心配しないでください。空兎ちゃんは、僕が守りますから」

「え?」

「ジョーさん?」

 仙太と空兎の声が被り、ジョーは空兎に進言する。

「僕も一緒に行かせてください」

「でも………」

 空兎は迷っていた。

 ジョーは非常に心強いが、また自分のせいで重傷を負わせてしまうのではないかと、思うと気が引けた。

 それを空気で悟ってか、ジョーが優しく諭す。

「僕ならもう大丈夫ですよ。ほら、今もこうしてここにいるじゃないですか。それに知ってますか? ヒーローは誰か信じている限り、何度でも復活するんですよ」

 その言葉が、実にジョーらしくて、空兎の不安が不思議なくらいに消えていった。

「うん! よろしくね! ジョーさん!」

「はい」

 空兎とジョーは互いに拳を打ち合わせた。

「それでは、私もご一緒していいですか?」

 さも当然のように言い出したのは、マリィだった。

 理由を問う前に彼女はそれを話す。