ひと悶着から少しして、一同は居間へと集まった。

 セレビアの太股の怪我は出血こそ酷かったが、幸いにも弾丸が貫通しており、あの組織のアジトから逃げる途中、ジョーが袖を破って止血したため、大事には至らなかった。

 その上、彼女自身が自己治癒力を高める魔法を掛けたため、本人曰く病院にいく必要もなくなったという。

「完璧なものならあっという間に傷とか消すこともできるんだけどね」

「あ、『体力が回復した! 』みたいな?」

「ゲームじゃないわよ」

 空兎の例えをバッサリと切り捨てたセレビアは、ふとマリィに視線を向ける。

「あなた、誰?」

「あ、私はマリィと申します」

「………普通じゃないように見えるけど?」

「ただの悪魔ですよ」

 柔らかな微笑みを浮かべて返すマリィの横で仙太はふと思った。

(なんか、非日常的な会話が自然と交わされてる気がする)

 しかも、そんな状況に慣れつつ自分がいることに気付く。つい、数ヵ月前までには思いもしなかったことだ。

 仙太は、内心で今の状況に少し笑った。

「そ・れ・よ・り! ジョーさん、セレビアさん! 今までどこで何してたのさぁ! アタシ、マジ心配したんだからね! ちゃんと洗いざらい話してよっ!」

 テーブルの上で仁王立ちする空兎。仙太が短く「降りろ」と、怒鳴った。