(いきなり掛けて「あなたが“本”持っていきましたか?」って訊くのもちょっと気が引けるよなぁ)

 などと仙太が思っていた矢先に、空兎は自分のストラップだらけの携帯電話でセレビアの番号に掛けていた。

「早っ……」

 「思い立ったらすぐ行動」という空兎らしいやり方だ。
 少し緊張するが確かに手っ取り早い。仙太は、成り行きをじっと見守った。


 ワンコール……。

 ツーコール…………。

 スリーコール………………。

 …………………………。


「うぎゃーーーっ!!」

 20コール待っても出ないセレビアに空兎のおつむは大噴火。
 その様子に仙太は、宛が外れて残念な気持ちだったがどこかでホッとしていた。

「そうなると他に頼れる人は………」

 そう、ここはやっぱり


 “ヒーローしかいない!”


 二人の意見が同時に合致した。

「よぉし! ジョーさん、カモン!」

 空兎がすぐさまジョーの携帯番号に掛け直す。


 ワンコール……。

 ツーコール…………。

 スリーコール………………。

 …………………………。


「うにゃらーーーっ!!」

 本日、二度目の大噴火。
 だが、仙太が自分の腕時計を見てすぐに気付いた。

「今、バイト中じゃないかな? あのファミレスで」

「おぉ、それだ!」

 言うや否や走り出した空兎を、慌てて追いかける仙太。
 目指す先は、ヒーローがバイトしているファミレスへ!