日曜ともあって、街は賑やかな人盛りで溢れていた。

 友達グループ。
 家族連れ。
 そしてカップル。

 傍から見れば最後の項目に、空兎と仙太も当てはまるのかもしれないが、当の本人達、特に仙太にしてみればそれは間違いだと、全力で否定するだろう。

 彼にしてみれば、これは空兎のお守りなわけで、決して母・紗恵美が言ったデート等ではない。
 空兎の暴走が、人様に迷惑をかけないようにと常に気を配らなければならない。仙太はそのつもりで同伴している。

 そんな彼の気苦労なぞ、知らないであろう空兎はウキウキ気分だ。
 ロケットダッシュで飛び出した割には特に宛てがある訳でもなく、今は街の散策を楽しんでいる。

「ねぇ、ねぇ、“奇跡を起こせる宝”ってさぁ、どんな形してんのかなぁ?」

「・・・・・・想像もつかないな」

 率直な感想を漏らす仙太。球体なのか、箱のようなものなのか、と色々想像を巡らせるものの、こんな街中にはないだろうというのが本音だ。

「見つかるといいな~。今日、見つかるかな!?」

「簡単に見つかったら、宝として、ありがたみ薄いんじゃないか?」

「ん~なるほど~。さっすが、せっちん!」

 何がさすがなのか分からないが、こんな他愛もない会話を、仙太はどこか楽しんでいた。
 気苦労はするが、空兎が一緒だと退屈はしなさそうだ。

(まぁ、こうして適当にブラつくのも、悪いもんじゃないな・・・・・・)

 好感触的に感じ始めたたその時、ふいに空兎が立ち止まった。