ありえない本を見つけたために、空兎がぶっ飛んだ発言してしまった月曜日からあっという間に時が過ぎて、やって来た日曜日。

　空兎はハイテンション。
　仙太はローテンションの朝を迎えた。

「んん～～っ！ やっぱ楽しい日の朝に飲む味噌汁は最っっ高だね！」

　熱々にも関わらず、一気に味噌汁を飲み干した空兎。仙太におかわりを要求しつつ、次々にご飯と和食のおかずを掻き込んでいく。

「あらあら、くーちゃん。今日は一段と元気ね」

　その空兎の見事な食べっぷりに、素直に感嘆しているのは、仙太の母、紗恵美（さえみ）だ。

　とても高校生の息子を持つ母親とは思えぬ美貌の持ち主で、大淵の眼鏡をかけて、いかにも優しいお母さんという感じを全身から溢れ出している。

　今日は仕事が休みのため、こうして一緒に朝食を食べているのだ。

「食べ過ぎだよ･･････。もう味噌汁五杯目だよ？」

　微笑みの紗恵美とは違い、仙太は呆れ顔だ。

「あら、いいじゃない。くーちゃんのためにいっぱい作ったんだから」

　ニコニコと笑う紗恵美に、空兎はサムズアップ。

「さっすが叔母さん！ 女心わかってるぅ！」

「女心、違うだろ……」

　そんな仙太のぼやきなど、空兎には届いていない。
　ともあれ、賑やかな朝食は空兎がご飯を八杯、味噌汁を六杯おかわりして終わった。