迂濶だったとばかりに、仙太とセレビアが間の抜けた声を出す。

 そう、クヲンは、まだセレビアが魔法使いだということを知らないのだ。
 未だ不信感が拭えないこの少年に、そのことを知られるのは少しばかり問題があるような気がして、二人は金魚のように口をパクパクとさせた。

「えっと・・・それはね・・・・・・」

 何か言い訳をしようとセレビアが頭を巡らせるが、次の瞬間、空兎が、

「このセレビアさんは魔法使いなのっ! すごいっしょ!」

 容赦なくぶち壊してくれた。
 だが、普通、こんな爆弾発言を言われても信じる人はまずいない。

 そう、あくまで「普通」はだ。

「すげえ! そいつは頼りになるぜ!」

 ノリが良すぎるくらいの勢いでクヲンは、あっさり信じたようだ。この辺の感性まで空兎似であることに、仙太は不可解な頭痛を感じ始める。

「ちなみにそこのジョーさんはヒーローよ! 驚きなさい!」

「おぉ! 生ヒーロー、初めて見たぜ!」

 本心から感激している様子のクヲンに、空兎は「えっへん」と胸を張る。ジョーはジョーで大々的な紹介をされて照れているようだ。

「大丈夫かな・・・・・・色んな意味で」

 脱力する仙太に、隣の魔法使いは「さぁね」と、もはや諦めか開き直りの境地に達したような態度で返した。

 空兎とクヲン。
この二人の興奮が落ち着きを見せた頃を見計らって、ジョーが本題へと戻した。

「それで、肝心の花火の方はどうします?」

 すっ飛ばされた議題がここで持ち上がる。空兎は一瞬、呆けた顔をした後、「ん~~~」と難しい顔をして悩む。

 やはりというか花火事態の調達法は全く考えてなかったようだ。

「その辺に売っているような小さなものじゃダメだよね~。やっぱこう、ドカーンと派手な方が餌としては申し分ないよね!」

(そんなものどうやって手に入れるんだよ・・・・・・)

 予想していたとはいえ空兎の大きすぎる要望に、仙太は厳しい現実を見る。