「名前は、白矢クヲン。見ての通り、高校生冒険家だ」
「いや、どう見ても冒険家には見えないけど……」
間髪入れずに突っ込んだのは、やはり仙太だ。
確かに白シャツにボロジーンズという出で立ちは、冒険家かというより、繁華街を目的もなく彷徨く暇人の方がまだ相応しい。
「見掛けで判断すんなって。綺麗なバラには刺があるっていうだろ?」
セレビアがスライスした木の実を刺したフォークを、指揮者のタクトのように振りながら軽い調子でクヲンは返す。愛嬌のある笑顔だが、セレビアは、その笑顔の裏を勘ぐっている。
「そうね……見掛けに騙されちゃダメよね。それで、その高校生冒険家がこんな所で何やってんの?」
「連休を利用してある宝を探して冒険してたんだけど、通り道であるそこの森で見事、遭難してしまったってやつさ」
「宝!?」
“宝”と聞いて、空兎が身を乗り出してきたところで、クヲンは「フッ!」と、小さく笑って言い放った。
「聞いて驚けよ? “奇跡を起こせる宝”ってやつだ!」
その一言に一同は一瞬、息を呑んだ。
セレビアの表情が瞬く間に険しくなる。
「おや、これは奇遇ですね」
努めてなのか、自然なのかは定かではないが、そう返したジョーの口調は、穏やかなものだった。
「うん! すっごい偶然! 実はアタシ達も同じ物を探してるの!」
怪しい偶然を何ら疑いもしていない様子の空兎は、嬉々として笑い、それに釣られるように、クヲンも嬉しそうな顔になった。
「おっ、そりゃあいい! これも何かの縁ってやつだな!」
「だね! ねぇ、一緒に探さ・・・・・・」
「待ちなさい!」
意気投合した二人の会話を、セレビアが迫力のある声で遮断。
思わず固まってしまった空兎の腕を素早く引っ張って、耳打ちをする。
「空兎、本気? 彼、どう見ても怪しいのよ。そんな人を引き入れるつもりなの?」
「え? ダメなの?」
「・・・・・・良いわけないでしょ? 普通に考えれば彼には何か裏がある。もしかしたら私達を利用するために近づいてきたのかもしれないわ」
「いや、どう見ても冒険家には見えないけど……」
間髪入れずに突っ込んだのは、やはり仙太だ。
確かに白シャツにボロジーンズという出で立ちは、冒険家かというより、繁華街を目的もなく彷徨く暇人の方がまだ相応しい。
「見掛けで判断すんなって。綺麗なバラには刺があるっていうだろ?」
セレビアがスライスした木の実を刺したフォークを、指揮者のタクトのように振りながら軽い調子でクヲンは返す。愛嬌のある笑顔だが、セレビアは、その笑顔の裏を勘ぐっている。
「そうね……見掛けに騙されちゃダメよね。それで、その高校生冒険家がこんな所で何やってんの?」
「連休を利用してある宝を探して冒険してたんだけど、通り道であるそこの森で見事、遭難してしまったってやつさ」
「宝!?」
“宝”と聞いて、空兎が身を乗り出してきたところで、クヲンは「フッ!」と、小さく笑って言い放った。
「聞いて驚けよ? “奇跡を起こせる宝”ってやつだ!」
その一言に一同は一瞬、息を呑んだ。
セレビアの表情が瞬く間に険しくなる。
「おや、これは奇遇ですね」
努めてなのか、自然なのかは定かではないが、そう返したジョーの口調は、穏やかなものだった。
「うん! すっごい偶然! 実はアタシ達も同じ物を探してるの!」
怪しい偶然を何ら疑いもしていない様子の空兎は、嬉々として笑い、それに釣られるように、クヲンも嬉しそうな顔になった。
「おっ、そりゃあいい! これも何かの縁ってやつだな!」
「だね! ねぇ、一緒に探さ・・・・・・」
「待ちなさい!」
意気投合した二人の会話を、セレビアが迫力のある声で遮断。
思わず固まってしまった空兎の腕を素早く引っ張って、耳打ちをする。
「空兎、本気? 彼、どう見ても怪しいのよ。そんな人を引き入れるつもりなの?」
「え? ダメなの?」
「・・・・・・良いわけないでしょ? 普通に考えれば彼には何か裏がある。もしかしたら私達を利用するために近づいてきたのかもしれないわ」