完璧な彼氏×おバカな彼女

~龍サイド~

俺は一ノ瀬 龍(イチノセリュウ)。高校3年生の18歳。身長185.4センチ。俺の今の格好を一言で言うとダサ男。黒い前髪を七三分けにし、分厚いレンズの黒縁メガネ。制服はというと、着崩すことなくちゃんと着ている。中学時代の俺なら考えられない格好だ。今日から普通の生活を送るために・・・。俺はもう1つの顔を持っている。こんな事になったのは・・・。

中学時代
自分でいうとなんだけど・・。長身で目立つ顔立ちだったため女にかなりモテていた。そのため知らない男からよくケンカを売られた。でも小1から中2まで柔道と空手をやっていたから負けることはなかった。そんな毎日を送っていると・・・。


「ただいま」

いつものように自分の部屋へ行こうとしたらお袋に思いっきり腕を引っ張られ、リビン グに連れて行かれ椅子に座らせられた。

そこにはいつも夜中にしか帰ってこない5つ上 の姉貴も、一ヶ月前ロサンゼルスに行った親父もいる。

「龍ちゃん嬉しいお知らせがあるの」

「何の??」

「選ばれたのよ。」

「何が??」

「龍ちゃんの写真を送ったら芸能人に選ばれたの。しかも1万人の中で5人選ばれるのが あったのよ。龍ちゃんカッコイイから選ばれると思ったら、本当に選ばれちゃったのよ 5人のうちに入ったのよ。おめでとう」
 
お袋は今大人気ホテルRUMINAの社長。国内だけじゃなく海外にもある。

「龍もついに、芸能人になるのね。おめでとう。」

姉貴は俺より5つ上で、高1の時渋谷で友達と買い物してた時にスカウトされ、桜として歌手デビューした。仕事が忙しいかった姉貴は通信教育に通っていた。今ではモデルやドラマに出るほど人気があるらしい。

「龍おめでとな!!父さん嬉しいよ。よかったなぁ」

親父はプロ野球選手。一ヶ月前にアメリカに遠征へ行ったのに、おそらくお袋が親父を 呼んだんだろう。


「さぁ主役が揃ったとこでパーティーをしましょ!!」

主役の俺はただ呆然としていた。雰囲気を悪くするかもしんねぇけど・・。俺は正直、芸能人になりたくねぇ。姉貴がえらいの知っているから余計に・・。


















「お袋。俺がいつ芸能人になりたいなんて言った??それに俺は芸能人なんかになんねぇから」

「どうしてそんなこと言うの??母さん龍が喜ぶと思って応募したのよ。それなのに・・ 」

そう言いながら親父のところへ行き親父の胸で泣いていた。普通、母親がそんな事で泣くのかよ!と思うぐらい反抗するとすぐに泣いてしまう。それに親父も親父でお袋には激甘
でお袋が泣いたらお袋の肩を持つ。

「龍、芸能人になってくれ!頼む。母さんが泣く姿、見たくない。普段一緒にいて上げられないから余計思うんだよ・・・。分かってくれ!!」

そう言いながら俺に頭を下げた。それと同時に姉貴も・・。

「龍、あたしからもお願い。芸能人になったら楽しいこともあるし、自分自身を成長させる事が出来るわ」

「分かったよ。芸能人になるよ」

俺を含めて5人選ばれた人とAquadollとしてデビューした。デビューシングルLOVEは、かなりヒットした。

Aquadollのメンバー(結成された時の年齢)

恭一(KYOUICHI)16歳。Aquadollのリーダー。
恭一は髪の毛が金髪で身長181.2センチ。目は細長いけど鼻が高くセクシーな唇を持っている。恭一は歌が上手い。女遊びはひどい。

一ノ瀬 龍(RYU)15歳。
龍は髪の毛がサラサラとした黒髪で身長185.4センチ。色素の薄い大きくキレイな瞳、長い長い睫で鼻が高く薄い唇を持っている。鍛え抜かれた細身な体。一番人気ある。女性だけじゃなくお年寄りや男性からも・・。ライブなどで上半身裸になると鼻血を出す人もいるぐらい。

五十嵐 隼人(HAYATO)15歳。
隼人は髪の毛がコゲ茶で身長179.3センチ。目は一重だけどキリっとしていて鼻が高くキスしたくなる唇を持っている。隼人はクール系な感じ。隼人は小さい頃から子供役でテレビに出たりしていたらしい。皇紀と幼馴染。ファンの前じゃない時は無愛想で無口。

滝川 海(UMI)15歳。
海は髪の毛が茶髪で身長168.9センチ。目は茶色の二重で鼻が低く真っ赤な唇を持っている。可愛い系の男の子。怒るとものすごく怖い。食いしん坊。























護国寺 皇紀(KOUKI)14歳。
皇紀は髪の毛が黒髪で身長170.1センチ。目は一重だけど睫毛が長くて鼻が少し低くちょっぴり上がった唇。隼人と幼馴染。

Aquadollのマネージャー

榊 涼介さん。(サカキ リョウスケ)20歳。
祥平さんは身長185.9センチ。端正な顔立ちをしている。芸能人になれるのに、本人は裏でサポートする方がいいらしい。


それから仕事が忙しく高校へは行けず海と俺は通信教育を受けながら仕事も両立させてきた。最後の高校生活は学校で‘普通‘に過ごしたいと思い、俺と海は2週間前に西南高校の編入試験を受けた。結果は、2人とも無事合格。

俺と海は明日から西南高校の生徒になる。












~鈴サイド~

私は天宮 鈴(アマミヤ スズ)。高校3年生18歳。身長156.2センチ。

「今日転校生来るんだって!!しかもうちのクラスに2人。イケメンかなぁ!!」

今私に話しかけているのは、私の大事な親友 倉本 美香(クラモト ミカ)。身長161.5センチ。髪の毛は茶髪で毛先だけふわっと巻きボリュームを出している。それがものすごく小顔にマッチしていて可愛い。女の私でも言うんだから男の子からかなりモテる
その上、体型はモデル体型。ものすごく羨ましい。美香はイケメン好き。

「そうなんだ。でも何で2人もうちのクラスに??」

鈴は天然で自分の容姿に気づいていないが、鈴も美香に負けないくらい男子からかなりモテる。サラサラとした黒髪のロングストレートで長い長い睫に大きな二重の瞳、ぷっくりとした赤い小さな唇に真っ白な透き通っているような肌。そして細い手足。可愛い女の子


「わかんな~い。けどさ~1人の転校生は鈴の後ろの席じゃない??」

鈴が通っている西南高校は 各学年6クラスある。
何で2人も??しかも後ろの席空いてるし・・。確か後ろには内山さんがいたのに・・。
なぜか後ろの席にずれてるし・・。内山さんとはまぁまぁ仲が良かった。何で??頭がついていけないよぉ!!もう1つの席は美香の席から2つ後ろの席。
そんなことを考えていると、HRを始めるチャイムがなった。
ちょっとしてからガラガラと教室のドアが開き、担任の前川先生が入ってきた。
前川先生は40代前半の男の先生。国語の授業では面白い話をいつもしてくれる。生徒から人気ある先生。

「みんなおっはよ~」

いつも元気の良い挨拶で入ってくる。

「みんな聞いてるかもしれないが、今日から新しく入るクラスメイトを2人紹介する。入って来い」

ほとんどの女子は目を輝かせていた。もちろん美香も・・。









































ガラガラ。
入ってきたと同時に女子の目の輝きがなくなっていった。
1人目は、180センチくらいある男の人。いかにも真面目って雰囲気。黒い髪の毛に、前髪を七三分けしていて、分厚い黒縁眼鏡をかけている。顔がちゃんと見えない。
2人目は、170センチくらいある男の人。ちょっと怖い雰囲気。黒い髪の毛に前髪を長くしていて視力悪くしないのかな??この人もさっきの人と同じように顔がちゃんと見えない。

「えーこっちが一ノ瀬であっちが滝川だ。みんな仲良くしてやってくれ!!」

先生が転校生の自己紹介をしてくれた。
眼鏡をかけた人が一ノ瀬君。前髪の長い人が滝川君。

「一ノ瀬 龍です。よろしくお願いします。」

「滝川 海。よろしく。」

一ノ瀬君より滝川君の方が少し声が高かった。

「じゃあ一ノ瀬の席は、天宮の後ろだ。分からないことがあれば天宮に聞いてくれ」

先生の馬鹿~。何で私なの??後ろに居る内山さんの方が学級委員をやっていて学校に詳しいのに・・。

「あの~内山さんに聞く方が良いと思うんですけど~」

「内山は、学級委員で忙しいんだよ。頼んだぞ 天宮」

「はい。分かりました」
仕方ない。

「滝川の席は、佐藤の後ろだ。分からないことがあれば佐藤に聞いてくれ」

佐藤君はサッカー部のキャプテンでしっかりしている。

「佐藤は、誰かさんと違ってしっかりしているしな~」

先生はそう言い、私の方を見て笑ってきたので、みんなから視線を受けた。
私はというと真っ赤な顔を机に押し付けた
先生の馬鹿~。恥ずかしいよ~。

そして 一ノ瀬君が私の後ろの席にやってきた。

「あたし天宮 鈴。よろしくね」

後ろに振り返り挨拶をした。

「ああ。よろしくな」


















~龍サイド~

今日は、久しぶりに半日オフで海が勝手に遊びに来た。

俺は部屋でパソコンのブログを管理し終え、今から寝ようとしたら・・・。

「龍~海ちゃんが遊びに来たわよぉ~」

お袋は、そう言い海を俺の部屋まで連れてきた。

「龍~暇だから遊びに来た。明日から学校楽しみだね~。クラス同じになれるかぁ??」

海は明日から《普通》に学校へ行けるのが嬉しいらしい。隼人が行ってる芸能人や大企業の子が通う学校は俺も海も嫌だった。何でかって??それは、人気があればあるほど大変だしえらいから・・。学校では芸能人とか気にせず過ごしたいじゃん??

「なれるだろ」

確か社長が学校に話つけておくって言ってたしな・・。

「なれるかもしんないけど、雰囲気から入ろうよ~」

雰囲気って何だよ。ま、海にとっちゃそれ程嬉しいんだろうな。

「そういや、今日午後から何があったっけ??」

「雑誌の取材で終わりだと思うよん」

「サンキュ」

2人で半日だらだら過ごし、取材のちょっと前に涼介さんが迎えにきてくれて俺と海は事務所へ行き、Aquadoll専用の部屋に入るとリーダーの恭一君がいた。俺は恭一君とは呼ばず恭君と呼んでいる。海は俺と隼人以外は《ちゃん》とつけながら言う。恭君が声を掛けてきた。

「おっ龍、海。明日から昼の高校へ行くんだろ??」

「そうだよん。恭ちゃんは店やるんでしょ??」

俺より先に答えたのが海だった。

「ああ。お前らも店に遊びに来いよ」

恭君は今まで働いていた店のオーナーをやるらしい。

そうして話している間に、隼人と皇紀も来て、いっぱい話した。






















俺たちは、理事長と校長先生と少し話さなければならなかったので、ちょっと早めに登校
することになっていた。

「今日から学校だね!!楽しみだね」

海は涼介さんの黒のワゴン車でもニヤけっぱなし。

「もうそろそろ到着すっからな。海、カツラかぶったか??龍メガネ掛けたか??」

涼介さんは、心配性だ。

プライベートの時は、サングラスをかけたりしている。でも、休日の時とは訳が違う。俺たちが普通の格好で学校へ行くと大変なことになるので、海は茶髪なので有名なカツラ屋さんに頼んだ黒髪のカツラをかぶることになっている。カツラ屋さんの店長は多少引っ張っても大丈夫だよって言ったので、実際にやってみるとビクともしなかった。目とか見えると大変なので、黒髪のカツラの前髪を長くしてもらいかぶってみると、見た目は別人のような感じだ。ファン達の前では可愛い感じのオーラなのに髪型変わっただけで少し怖いようなオーラが漂っている。俺は、地毛で前髪を七・三分けをし分厚いレンズのメガネを掛けると、普段感じない真面目っぽいオーラがある。

「かぶったよ。涼ちゃんは気にしすぎだよん」

「海。お前が一番危ないんだよ。その口癖は学校では駄目だぞ。龍、海を頼むぞ」

「龍もメガネかけたよな??」

「掛けた」

そう言うとほぼ同時に西南高校の校門へ着いた。

「よし、じゃあ行って来い。今日は7時から撮影と取材あるから5時に秋野宮公園に迎えに行く。くれぐれも気をつけろ!!」

「分かったよん。じゃあ行って来る」

「行ってきます」

そう言い車から降り、西南高校の門をくぐった。涼介さんは俺たちが校門をくぐるまで心配そうに見つめていたが、俺と海が大丈夫サインを送ると笑顔を残し帰った。それから、俺たちは理事長と校長がいる校長室へ行った。

コンコンとノックした。

「「失礼します」」

「あら、待ってたわよ。座ってちょうだい」

理事長が声をかけてきた。理事長が座っている白いソファの前の黒いソファに座った。
校長は、理事長の横で立っていた。理事長は40歳前半くらいの女の人。校長は、30歳後半の男の人。































「社長と仲がいいから、編入試験に合格してなくても大丈夫だったんだけど・・。社長がうるさくってね。結果見て驚いたんだけど龍君は賢いのね。全国模試受けてみる??」

「ありがとうございます。でも全国模試は考えさせて下さい。」

「海君聞いて驚かないでね。本当は編入試験に目安の点がとれてなかったの。でも大丈夫!!社長にもちゃんと言ってあるから・・・。その代わり条件があるわ」

「待ってよん・・待って下さい。条件??俺駄目なの??」

「私の前では癖が出てもかまわないわ。だからイチイチ言い直さないで。私、あなたたちのファンだから」

「ほんと??」

「ええ」

「さっきの話題にもどってもらえませんか??」

「ごめんなさいね。今から言う条件を聞いてね」

「何ですか??」

「1つ目はサインほしいの。もちろんAquadoll全員の。ファンなんだから。2つ目は文化祭を盛り上げること。この地区の文化祭で一番、西南高校が派手なのよ。だけど、今年は、Aquadollが最後に歌って握手会してほしいな。3つ目は、卒業式にあなたたち2人が、正体を全校生徒の前で披露すること。以上よ。のめるかしら??のめたら、何が何でもあなた達の力になるわ。」

「分かりました。海のこともあるけど・・・。たぶん・・・。」

「龍ありがと。ダイスキ。だけどちょっと待ってよん。話が見えないんだけど・・。」

そんな海を無視して俺と理事長は勝手に話を進めた。
たぶん、1つ目以外は社長が言ったことだろうな。あの人はちょっとセコいからな・・。

「1つ目の条件以外は、社長からの命令でしょ??」

「龍どういうことぉ??」

「やっぱり龍くんは感が鋭いのね」

「やっぱり・・・。明日には残り3人のサインをもらってくるので、俺たちが困った時は助けてくださいね。理事長」

「じゃあ、何かあったらいつでもここへ来なさい。いつでも力になるわ!!」
































「早速サインちょうだい」

理事長はそう言い、俺たち2人に色紙とマジックペンを渡され、俺はすぐにサインを書いた。海も迷いながらもサインした。

「今、人気トップアイドルにサインもらっちゃった。校長先生見て。」

校長は、横で時々顔をしかめながらもずっと理事長の横に立って、俺たち3人の話を聞いていた。その校長先生に俺たちが書いたサインを見せ、大騒ぎしていた。

そして俺たちは、担任のいる職員室へ向かった。
担任のところへ向かう途中、海はさっきのことがまだ納得がいかないようでカバンに準備していたお菓子を食べながら一人ブツブツ文句を言っていた。

「失礼します」

俺たちは担任の写真を社長に見せてもらったのであるので、写真に移っていた人の所へ向かったら担任は俺たちに気が付いた。他にも2人程の職員が見ていた。

「おぉ来たか・・。がははははははは」

席を立ち笑われた。急に笑われ何て言えばいいのかイマイチ分からなかった。
他の職員も笑っていた。

「あっしまった。自己紹介。俺はお前たちの担任の前川だ。国語の担当をする。1年間よろしくな」

「よろしくお願いします。」

「よろしくねん・・。よろしくお願いします。」

俺が睨むと海は慌てて言い直したけど、癖がでてしまった。これじゃあ、いつクラスメイトにバレても、おかしくない。

「俺の前では少々口癖が出てしまっても構わないが、クラスメイトに聞かれるとお前の正体がバレてもおかしくない。だから注意払った方がええ。」

「ありがと。なるべく口癖が出ないように気をつけるよ」

「OK。そろそろHRの時間だ。教室へ案内する。ついてきてくれ」

ついていくと、騒がしい教室3-2の前にたどり着いた。

「じゃあ、ちょっと待っててくれ!!」

そう言い、騒がしい教室に入っていき、ちょっとしてから呼ばれた。
入っていくと、騒がしい教室が静かになった。自己紹介をしてくれ!!と言われ、簡単な自己紹介をした。正確には名前だけだけど・・・。

「一ノ瀬 龍です。よろしくお願いします。」

「滝川 海。よろしく。」