完璧な彼氏×おバカな彼女

「ごめんね。ボーっとしてた」

天宮さんは、海のこと考えているのかな・・・。そう思うと無性に腹が立った。俺は、カバンからルーズリーフを取り出し、天宮さんが解けない問題と間違ってる問題を書き、雨宮さんの前に差し出した。

「これ何??」

天宮さんは驚いた表情で俺に聞いてきた。

「その問題の答えと裏は天宮さんが解けなかった部分。とりあえず、これ写して先生に提出したら??」

何で俺こんな事してるんだろう??今までこんな事一度もなかったのに・・・。それだけ天宮さんの事が好きなんだろうな・・・。

「一ノ瀬君 ありがとう!!」

天宮さんは笑顔でお礼を言い、真剣に書き写していた。

俺、いつまで理性を保ってられっかな・・・。

「なぁ、海と仲良くなったの??」

無意識に、そう問い掛けていた。

そうすると、天宮さんは俺のほうに目線を向け、

「海君って面白い人だよね」

そう言った、天宮さんに無性に腹が立ち、天宮さんの赤い唇にキスをしていた。

やってしまった。俺はいづらくなり・・・。

「また明日。日直日誌出しといて」

教室を出て、海を迎えに行った。











~鈴サイド~

やっと写し終わったぁ♪♪
これで帰れる~。よし、先生に提出だぁ。

私は、無我夢中で走り職員室に向かった。

ガラガラ。

「失礼します」

そう言い前川先生の前まで向かった。

「お~天宮。数学の宿題がまだだったそうだな~」

「はい。あの~川田先生ゎ??」

川田先生とは、いつも数学の宿題がもの凄く多く、厳しくて長い髪を後ろで束ねた先生。

「さっきまでいたんだがなぁ~。」

前川先生は、いつものん気だ。

「そうですか」

私は、肩をがっくり落としトボトボ歩いて職員室を去ろうとした時、

「先生が渡しといてやろうか??」

「いいんですか??」

「ああ」

良かったぁ~。これで川田せんせいに怒られない。

「お願いします。では失礼しました」

「気をつけて帰れよぉ~」

先生はバナナの皮をむきながら言いました。
先生はのんきだなぁ~。まぁそんな所が生徒から人気あるんだけどね。

職員室から出て廊下から外を見ると真っ暗。

「嫌だなぁ。急いで帰ろうっと」

カバンを取りにいき急いで外に出た。公園の近くを通りかかると、不良の男の人達が三人程いて、早足で帰ろうとするとこっちに向かって歩いてきた。絡まれませんように・・。

ダッシュで逃げようとすると囲まれた。怖いよぉ~。

「なっ・・・、なんですか??」

あたしは震える声で男の人達に尋ねた。

「震えちゃってるよ~。か~わいい~」










男の人達の中の1人は、品定めするかのようにジロジロと見ると、急にあたしの腕を掴み、人けのない草むらへと連れて行った。

「やめて!!!放して!」

あたしは腕を引いて、無我夢中で逃げようとするけれど男の力はかなわない。あたしは男に押し倒されてしまった。男はあたしにまたがると首筋を舐めてくる。


うっ・・・・・気持ち悪い・・・・・!

「んじゃ、いただきま~す」

そう言った男の傍で残りの2人がニヤニヤとこっちを見ていた。

嫌ぁぁぁぁぁ。助けて・・・・。

「嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

あたしの叫び声が草むらに響いた。




~龍サイド~

俺は、教室を出て海がいるテニス部のコートへ向かったがいなかった。
確か、俺が日直だという事を思い出し、教室へ行くので待ち合わせ場所をテニス部のコート。なのに・・どこへ行った。

探していると、サッカー部が試合している中にユニフォームを着た海がいた。

俺は、サッカー部のマネージャーに海を呼んで来るように言うと、

「試合が終わるまで5分あるので、少し待っててください」

マネージャーが言ってきた。

ピーーーーー。

笛の合図がなった。

すると、海は笑顔で俺のところまでやってきた。

「龍、日直の仕事終わったの??」

「ああ。ってか待ち合わせ場所にちゃんといろよな」

「ごめん。ごめん。」

「帰ろうぜ。」

そう言い、携帯の時計を見ると6時を通り越し6時30分になっていた。

「ってやべ。涼介さんに怒られるぞ」

「涼ちゃん怖いもんね」

そう言い、急いでユニフォームを着替え帰ろうとする俺たちに、

「滝川!!」

と呼び止められた。









「もし、良かったらサッカー部に入らないか??」

と体育の山本が言った。海は、

「すみません」

そう言い歩き始めようとしたら山本は、

「お前をエースにしてやるからさ」

「すみません」

海は、山本先生に頭を下げた。

山本先生は、筋肉モリモリで肌が黒く笑ったら白い歯が見える。30歳前半の男の先生。生徒からは、ひそかに人気がある。

俺は、帰る途中に聞いてみた。

「海、おまえ本当にサッカーやらなくていいのか??」

「いいんだよん。中学の時ほんのちょっとしてただけだしさ。」

そう言い、笑って誤魔化したけれど目が笑ってなかった。
海のあんなに楽しそうな表情を身近にいる俺さえ、見た事のない表情だった。

俺達は無言のまま、涼介さんと約束した秋野宮公園に向かった。

公園に向かうと、俺達が朝乗ってきた黒のワゴン車があった。

俺達の姿に気づき、窓を開け

「海、龍、約束の時間より40分過ぎてるぞ!!一体どういうことだ??車でゆっくり聞かせてもらおうじゃないか。早く乗れ!!」

そう言った涼介さんは、怖かった。

「何で、40分も遅れたんだ??」

「涼ちゃんごめん」

「すみません」

そう言うと、それ以上に追求してこなかった。

「そろそろ着くから、カツラや眼鏡を外せ」

俺達は、涼介さんの言う事を聞き、前髪を整えたりした。そんな事をしていると、お台場にあるスタジオに着いた。

























お台場にあるスタジオに着くと、スタッフが俺達に向かって一礼をする。俺達は、それに応えるように挨拶をする。これは、俺たちがデビューしてから礼儀としてずっとしてきた事である。俺達は、スタッフの人達やスタジオがあるから俺達は成り立っていく事ができるんだと芸能人になって知った。けれど、中にはスタッフが一礼をしても挨拶しないで通り過ぎる芸能人もいる。

俺達は、楽屋に行くと涼介さんは言った。

「龍、海。代々木さんに謝って来い。お前ら以外のメンバーは撮影も取材も先にやったから。代々木さんに謝って、撮影と取材が終わったらここに来るんだ。分かったな??」

優しく笑って涼介さんは言った。

「はい。今日は約束の時間より遅れてすみませんでした。」

俺は、40分も待たせたのに注意だけだった。普通のマネージャーなら怒るだろうな。
そう思うと勝手に謝っていた。

そして海も、

「涼ちゃん。今日はごめんね。」

謝った。

「もう気にすんなよ。」

「涼ちゃんありがとう」

俺達は、代々木さんの所に行こうとすると、

「龍、海。メンバーの奴等にも謝っておけよ。あいつら、自分達の撮影や取材が終わっても少し待ってたからな」

「分かりました。」

「分かったよん。」

そう返事して、代々木さんのもとに向かった。




代々木さんのもとに向かう途中、海のあの表情が忘れられずにもう一度聞いた。

「海、お前サッカーやらなくて本当にいいのか??」

「うん。芸能界に入った以上無理だよん。」

「社長に聞いてみたのか??」

「まだだよん。」

「まだ聞いてもないのに決めつけてんのか??」

「だって聞くまでもないよん。聞いた所で駄目って言われるのが目に見えてるんだから」

「お前にとってサッカーはそんなものなのか??」

「龍に何が分かるんだよ」

「何にも分かんねぇよ。んなもん分かりたくもねぇよ。その代わり、後悔だけはするなよ」

そう言うと海は、どこかへ行ってしまった。

俺は、代々木さんの所へ向かった。

「おっ龍。待ってたんだぞ!!って海は??涼介は二人来るって言ってたんだけどよ。」

「今日は予定の時間より遅くなってしまってすみませんでした。」

「人間誰でもあるって・・。気にすんなよ。」

「ありがとうございます。」

「もう一度聞くぞ。海は??」

「実はここへ向かう途中、喧嘩になってしまって・・・」

俺は、喧嘩した内容を代々木さん聞いてもらった。

代々木さんは、俺たちがデビューしてからずっと写真を撮り続けてくれるカメラマン。代々木さんは40代後半。少し頭がハゲている。けれど、服装はいつも赤やピンクといった明るい服ばかり着ている。

「お前と海が喧嘩するなんて、珍しいな。そんな事があったんだな。けど、お前の言った事は間違ってない。これから海がどうなるかだ。」









「さあ、やるか。海は明日にでも撮影と取材させるよう涼介に言っておいてくれないか??」

「分かりました。」

パシャパシャ。

「龍いいねぇ。ちょっと歩いてくれないか??」

代々木さんは仕事でも優しく接してくれる。

「今日はここまで。」

40分くらいで終わった。

「龍、じゃあ涼介に頼むぞ」

「分かりました。また、撮ってください。」

「ああ。中学生の時から撮ってるんだ。今更」

「じゃあ、さよなら」

「おお。じゃあな」

海の所へも行きたいが、まずは楽屋にいって涼介さんに代々木さんの伝言を伝えてから社長の所へ行くしかねえよな。

俺は、楽屋まで走った。

楽屋のドアを開けた。

「・・ハァ・ハッ・ハァ・・・」

ドアを開けると涼介さんがいた。

「龍そんなに息切らしてどうしたんだ??」

「実は・・・涼介さんに頼みがあるんです」

「何だ??言ってみろ??」

「海に部活をさせてあげられませんか??」

「無理だろうな」

「そこを何とか・・」

「何でそこまでこだわるんだ??」

「海のあんな楽しそうな表情初めて見たんです」

俺は何度も何度も頭を下げた。

すると、俺の隣に海も頭を下げた。













海は、顔を上げ、

「涼ちゃん。俺、サッカーしたいんだ。もう一度やってみたいんだ」

そして、頭を下げた。

そうすると、涼介さんが、

「分かった。そこまで言うんなら社長にかけあってやるよ」

「本当ですか??」

「ああ。俺が嘘を言う男に見えるか??」

「いえ。あの、明日海は撮影と取材をするそうです。」

「はぁ??海も一緒に行ったんだろ??」

俺は口を閉じた。すると、

「涼ちゃん。さっき龍と喧嘩したんだよん。だから・・」

「ったくお前らいい加減にしろよな」

「すみません」

「ごめんね。涼ちゃん」

そう、俺達は涼介さんに謝ると、

「仕方ねぇなぁ。まぁ、お前らしいけどな。海、お前は明日遅れて学校に行け!!」

涼介さんは笑いながらそう言ってくれた。

「分かったよん」

「じゃあ、今日は遅いから送る。玄関前に出ておけ!!車まわしておくから」

「涼介さん。今日はバイクで帰ります」

「分かった。気をつけるんだぞ」