~鈴サイド~
次の日。
今日は美香が風邪をひいてしまったみたいで学校に来ていない。
よし!!
この人とは上手くいきそうな気がする。いっつも男の人とは上手くいかないから男友達が1人もいないんだよなぁ~。女友達も美香しかいないし・・・。男友達と女友達が出来ますように・・・。美香は何人も男友達も女友達もいるのに・・。何で出来ないんだろ!!
後ろで本を読んでいる一ノ瀬君に声かけてみようかなぁ。こんな時は掛けるべきだよね?
「一ノ瀬君は・・・・・」
しまった!!話題考えてなかった。う~んとなんかないかなぁ。
「何??」
「う~んと・・滝川君と仲良いの??」
「まぁまぁだけど・・。どうかしたの??」
「う・・ううん何でもない。変な事聞いてごめんね」
聞かなきゃ良かったぁ。
「大丈夫だよ」
一ノ瀬君はそう言い、読んでいた本に目線を変えた。
そうしていると、少し怖い滝川君が一ノ瀬君の机にやって来た。
「龍~今日何時に帰る??」
「終わったらすぐ帰る。もちろん海も・・。」
目線は本に向けられたまま滝川君の質問に答えていた。
「え~ちょっとだけ部活見学しようよ」
「駄目だ。」
「ちょっとだけ!!」
そう言う滝川君に一ノ瀬君は、ため息をついた。
「分かった。じゃあ、ちょっと待ってろ」
そう言い、教室から出て行きどこかに行ってしまった。
滝川君が一ノ瀬君の椅子に座り、声を掛けてきた。
「自己紹介遅れてごめんね。俺は海。よろしく」
「私は、天宮鈴。よろしくね」
右手を差し出してきたので、少し戸惑いながらも握手をした。
初めは緊張したけど喋っていると面白い人で、学校の事についていっぱい話した。最後の方には《滝川君》から《海君》になった。そして、海君も私の事を《鈴チャン》と呼ぶようになった。
ちょっとしてから、一ノ瀬くんが戻ってきた。
「龍~どこに行ってたんだよ。遅すぎ。鈴ちゃんも俺も心配してたんだぞ」
海君がそう聞くと、顔色を変えた。不機嫌な感じの顔色だったけど、どうしたんだろ??
「わりぃ。海さっき電話したら6時に公園に着いたらいいってよ」
そう言い、海君をどけ一ノ瀬君は自分の椅子に座った。
「まぢ。ラッキー」
海は大喜びした。
昼休みが終わりそうになる10分前に3人で弁当を食べた。
放課後
今日、日直だったことすっかり忘れてたぁ。日直日誌まだだった。しかも、数学の宿題も家で出来なかったからやらなきゃいけないし・・・。正確には、問題が分からなくやれなかったんだよね。もう1人の日直は誰かなぁ~。と思いながら日誌を書いている途中、突然教室のドアが開いた。
ガラガラ・・・。
「あっ一ノ瀬くん。どうしたの??」
「俺も日直。遅くなってごめん。」
そう言い。一ノ瀬君は自分の席じゃなく、私の隣の席についた。
「そうなんだぁ。私も今まで忘れてて・・・。一ノ瀬くん、暇だったら宿題教えてくれないかなぁ??日誌は全部、鈴が書くから・・・。」
「いいけど」
「ホント。じゃあ、ここ教えて」
「ここは、Xに4を代入して答えを出すんだよ」
説明してくれるんだけどイマイチ分からなくて、シャープペンを動かさないで考えていると、ギィーっと椅子から立ち上がった一ノ瀬君は、私の後ろに来て、私が握っているシャープペンを上から握り、耳に一ノ瀬くんの吐息がかかり、ボーっとしていると、
「天宮さん??」
「ごめんね。ボーっとしてた」
私がそう言うと一ノ瀬君は、隣の席につき、自分のカバンからルーズリーフを取り出し何か書き始めた。
しばらくすると、さっきまで何か書いていたルーズリーフを私の前に出してきた。
「これ何??」
「その問題の答えと裏は天宮が解けなかった部分。とりあえず、これを移して先生に提出したら??」
ルーズリーフには細かく一問一問の解説が書かれていた。
「一ノ瀬くん ありがとう!!」
お礼を言い書き写していると・・・。
「なぁ、海と仲良くなったの??」
急に質問された。
「うん。海君って面白い人だよね」
そう言うと、またギィーって音がし見上げると、唇に柔らかい感触が・・・。
「じゃあね。また明日。日直日誌出しといて」
そう言い、一ノ瀬くんは帰ってしまった。
私、一ノ瀬君にキスされたんだ。
どうしよぉ~。
~龍サイド~
天宮さんと話して、少し経ってから海が俺の席に来た。
「龍~今日何時に帰る??」
「終わったらすぐ帰る。もちろん海も・・・。」
「ちょっとだけ部活見学しようよ」
「駄目だ。」
「ちょっとだけ!!」
「分かった。じゃあちょっと待ってろ!!」
俺は、海に負けてしまうんだよな・・・。どうにかならねぇかな・・・。まぁ仕方ねぇか
。海も楽しみにしてたんだし・・・。ちょっとくらい・・いいよな・・。涼介さんに電話するため海と天宮さんを教室に置き、屋上へ電話しにいった。
プルルルル・・・。
『はい』
ちょっとしてから涼介さんが電話にでた。
『涼介さん。龍ですけど・・・。』
『あ~龍か。どしたんだ??』
『海が、部活見学したいって言ってるんだけど・・・。』
『海は一度言ったら、聞かないからな』
『そうですね。』
『じゃあ6時に公園につくようにしろ』
『分かりました』
海、喜ぶだろうな。そう思いながら教室に戻ると・・・。
「龍~どこに行ってたんだよ。遅すぎ。鈴ちゃんも俺も心配してたんだぞ」
俺がいない間に、この2人は仲良くなったんだな・・・。海も天宮さんの事《鈴ちゃん》って読んでるし・・・。あぁ~海にまで嫉妬してるし・・・。
「わりぃ。海さっき電話したら6時に公園につけばいいってよ」
そう言い、海をどけ自分の椅子に座った。いつもなら怒ってくる海だけど・・・。
「まぢ。ラッキー」
海は大喜び。
昼休みが終わる前に弁当を食べた。
放課後
海と部活見学に行った。テニス、サッカー、見学していると、日直だったこと忘れてた。めんどくせぇ。もう一人誰だよ・・・。
「海 5時50分に校門前でいてくれ。今日、日直だったことすっかり忘れてた。」
「了解だよん」
俺は、急いで教室に戻った。
ガラガラ・・・。
天宮さんが一人自分の席で日直日誌を書いていた。
「俺も日直。遅くなってごめん。」
俺は、自分の席じゃなく天宮さんの隣に座った。俺が謝ると、天宮さんは
「そぅなんだぁ。私も今まで忘れてて・・・。一ノ瀬くん、暇だったら宿題教えてくれないかなぁ??日誌は全部、鈴が書くから・・・。」
照れ笑いしながら教えてくれた。天宮さん可愛いくねぇ??いくらでも教えてやる。
「いいけど」
そう言うと、天宮さんは喜んだ。
「ホント。じゃあ、ここ教えて」
「ここは、Xに4を代入して答えを出すんだよ」
だけど、天宮さんの手がずっと止まったままだったったので、天宮さんの後ろにいき、天宮さんが握っているシャープペンを俺も握った。やべぇ。天宮さんの髪からシャンプーの匂いがしてきて理性がふっとびそう・・・。でも天宮はずっとボーっとしていたので声を掛けた。
「ごめんね。ボーっとしてた」
天宮さんは、海のこと考えているのかな・・・。そう思うと無性に腹が立った。俺は、カバンからルーズリーフを取り出し、天宮さんが解けない問題と間違ってる問題を書き、雨宮さんの前に差し出した。
「これ何??」
天宮さんは驚いた表情で俺に聞いてきた。
「その問題の答えと裏は天宮さんが解けなかった部分。とりあえず、これ写して先生に提出したら??」
何で俺こんな事してるんだろう??今までこんな事一度もなかったのに・・・。それだけ天宮さんの事が好きなんだろうな・・・。
「一ノ瀬君 ありがとう!!」
天宮さんは笑顔でお礼を言い、真剣に書き写していた。
俺、いつまで理性を保ってられっかな・・・。
「なぁ、海と仲良くなったの??」
無意識に、そう問い掛けていた。
そうすると、天宮さんは俺のほうに目線を向け、
「海君って面白い人だよね」
そう言った、天宮さんに無性に腹が立ち、天宮さんの赤い唇にキスをしていた。
やってしまった。俺はいづらくなり・・・。
「また明日。日直日誌出しといて」
教室を出て、海を迎えに行った。
~鈴サイド~
やっと写し終わったぁ♪♪
これで帰れる~。よし、先生に提出だぁ。
私は、無我夢中で走り職員室に向かった。
ガラガラ。
「失礼します」
そう言い前川先生の前まで向かった。
「お~天宮。数学の宿題がまだだったそうだな~」
「はい。あの~川田先生ゎ??」
川田先生とは、いつも数学の宿題がもの凄く多く、厳しくて長い髪を後ろで束ねた先生。
「さっきまでいたんだがなぁ~。」
前川先生は、いつものん気だ。
「そうですか」
私は、肩をがっくり落としトボトボ歩いて職員室を去ろうとした時、
「先生が渡しといてやろうか??」
「いいんですか??」
「ああ」
良かったぁ~。これで川田せんせいに怒られない。
「お願いします。では失礼しました」
「気をつけて帰れよぉ~」
先生はバナナの皮をむきながら言いました。
先生はのんきだなぁ~。まぁそんな所が生徒から人気あるんだけどね。
職員室から出て廊下から外を見ると真っ暗。
「嫌だなぁ。急いで帰ろうっと」
カバンを取りにいき急いで外に出た。公園の近くを通りかかると、不良の男の人達が三人程いて、早足で帰ろうとするとこっちに向かって歩いてきた。絡まれませんように・・。
ダッシュで逃げようとすると囲まれた。怖いよぉ~。
「なっ・・・、なんですか??」
あたしは震える声で男の人達に尋ねた。
「震えちゃってるよ~。か~わいい~」
男の人達の中の1人は、品定めするかのようにジロジロと見ると、急にあたしの腕を掴み、人けのない草むらへと連れて行った。
「やめて!!!放して!」
あたしは腕を引いて、無我夢中で逃げようとするけれど男の力はかなわない。あたしは男に押し倒されてしまった。男はあたしにまたがると首筋を舐めてくる。
うっ・・・・・気持ち悪い・・・・・!
「んじゃ、いただきま~す」
そう言った男の傍で残りの2人がニヤニヤとこっちを見ていた。
嫌ぁぁぁぁぁ。助けて・・・・。
「嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
あたしの叫び声が草むらに響いた。
~龍サイド~
俺は、教室を出て海がいるテニス部のコートへ向かったがいなかった。
確か、俺が日直だという事を思い出し、教室へ行くので待ち合わせ場所をテニス部のコート。なのに・・どこへ行った。
探していると、サッカー部が試合している中にユニフォームを着た海がいた。
俺は、サッカー部のマネージャーに海を呼んで来るように言うと、
「試合が終わるまで5分あるので、少し待っててください」
マネージャーが言ってきた。
ピーーーーー。
笛の合図がなった。
すると、海は笑顔で俺のところまでやってきた。
「龍、日直の仕事終わったの??」
「ああ。ってか待ち合わせ場所にちゃんといろよな」
「ごめん。ごめん。」
「帰ろうぜ。」
そう言い、携帯の時計を見ると6時を通り越し6時30分になっていた。
「ってやべ。涼介さんに怒られるぞ」
「涼ちゃん怖いもんね」
そう言い、急いでユニフォームを着替え帰ろうとする俺たちに、
「滝川!!」
と呼び止められた。