日が陰り、僕たちは公園を後にした。


「暑くなったからって腹出して寝るなよ! マダラの宗一郎!」

ショコラはいつも通り憎まれ口をたたいて、笑顔で今のご主人が待つ家に帰って行った。


何だか僕は、オバサンのところには寄る気持ちになれず、誰もいない僕の寝床の小屋に帰る事にした。




 夕焼けに照らされて長く伸びた僕の影を、追いかけながら帰るいつもの道。


「今日が暖かい日で本当によかった」


雨だったら、雨の重さに押し潰されて、起き上がれなくなってただろう。


僕は“死ぬ”なんて事を、今まで身近に考えた事がなかったから。




僕は、自分が“死ぬ”という事はよく分からない。


だけど、僕が愛するものは永遠であって欲しいと思った。


ご主人も、ショコラも、シロも、桜の木も、稲田も、全て、永遠であって欲しいと……