僕はせっかくだからお参りをしようと、神社の階段を上がり門の中を進んだ。
簡素なお社は、2つのイヌの置物に護られていた。
カミサマを護るのは昔から僕たちイヌで、決してヒトではなかった。
これは僕たちの自慢だった。
――カミサマ。
僕たちの暮らしを、ただ黙って見ている。
ヒトはカミサマがすぐそばにいる事に気付かずに、いい事もすれば悪い事もするから、僕たちはとてもドキドキする。
それでもカミサマは、ヒトにも僕たちにも、何かを語りかける事は決してしない。
僕はカミサマの圧倒的な強さを、心の底から感じるのだった。