「ショコラー!」
ショコラの家から、ショコラを探す声が聞こえた。
「おっと。そろそろ家に戻らないと締め出されちまう。まぁ俺は締め出されても構わないんだけどな。心配かけるとマズイから帰るわ」
ショコラは笑って、
「またな」
と言うと、家の中に消えた。
僕は誰かに探してもらえるショコラが、少しうらやましかった。
今のご主人だってショコラを愛してるじゃないか……
家を出たあの日、僕のご主人は少しは僕を心配したのかな?
僕は歩きながら、ご主人とご主人の奥さんと僕の母さんが、笑って過ごしているのを想像してみた。
完璧な家族。
僕はやっぱり、浮いていたような気がする。