僕は生まれてすぐ、ご主人から“宗一郎”というとても紳士的で素敵な名前をつけてもらった。

 僕はこの名前を、とても愛していた。

 だけど、実際の僕はその名前のイメージとは正反対。ヤンチャで、なのに臆病で、優柔不断で……

 本当にどうしようもない性格なのだった。



 例えば――

 一日の散歩の時間以外を家で静かに過ごす母さんを横目に、僕は庭中を走り回っていた。

 僕の遊んだ後に庭に出てきたご主人は、決まって

「宗一郎〜!」

と悲鳴をあげた。

 僕はご主人が大好きだから、困らせるつもりは全くないのだけど……


なかなか思うようにはいかなかった。