ご主人は奥さんに、早速シロの話をしていた。
「ツヨシくんという青年がね、ずっと宗一郎の面倒を見てくれていたんだよ。本当に宗一郎を愛してくれていてね。私はその青年から宗一郎を奪ってきていいものか、最後の最後まで本当に悩んだよ」
ご主人は悲しい顔をしていた。
「まぁ、そうだったんですか。可哀相な事をしましたね……」
「“いつでもおいで”と言って来たんだけど……。本当に遊びに来てくれるといいがねぇ」
「まぁまぁ! じゃあ、新しい楽しみも出来ましたね。お疲れ様でしたね。温かい紅茶でも入れましょうね」
……ふたりの会話を遠くに聞きながら、
「あぁ、僕の家だ……」
と、全身で感じる。