家に入ると僕の大好きだったソファーが、まだ同じ場所に置かれていた。

部屋を見回す僕の元に、母さんが静かに歩み寄ってきた。


僕は笑顔で

「ただいま、母さん」

と言った。


母さんも笑顔で、

「お帰りなさい、宗一郎」

と言った。


母さんは、相変わらず美しかった。



「まさか本当に家を出るなんてね?外の世界はどうだった?明日からゆっくり聞かせてちょうだいね」


母さんは優しく微笑んだ。