それを聞いたシロは、すごく驚いて、
「えっ? 市役所!? あの、おじさん。じゃあ僕、クロの代わりにコイツを連れて帰っていいですか?」
と言い出した。
「本当かい? それは助かるよ!」
僕と子イヌの問題が思ったより早く片付いたので、ショコラのご主人もホッとした顔をしていた。
僕もそれを聞いて、本当に安心した。
「よかったね……」
と言いながら、でも少し複雑な気持ちもよぎった。
そういえば、オバアチャンから貰ったボール。
僕は、お気に入りのミドリの四角いボールが置きっ放しにしてある事を思い出した。
オバアチャンにお別れもしていない。
子イヌに少しヤキモチのような感情も芽生えてくるし……。
僕は本当に欲張りなイヌだなぁ、と自分がイヤになった。