そして、シロは困る僕たちに答えをくれた。
「僕はもういいんです。僕はもう、クロから沢山のものを貰いました。
夢も勇気も思いやりも。家族も友達も恋人まで……」
シロの目から溢れ続ける涙。
僕なんかのために、泣いてくれているの?
「ツヨシ君は本当に頑張ってるもんな? お母さんもな、“最近息子が変わったんだ”って喜んでいたよ」
ショコラのご主人も、目にうっすらと涙を浮かべていた。
シロは僕に言った。
「クロ、ごめんな。もっと早くにご主人に会わせてあげられたのに」
僕はシロの涙をペロペロとなめた。
「何を言っているんだよシロ……。元はといえば、僕が悪いんだ。本当に本当にごめんね」