「いや、びっくりしたなぁ。この子、うちの裏の家の子なんですよ。今はオバアチャンの家にいるんだったね?」

ご主人とシロが向かい合っていた。

何とも不思議な光景だった。


「こんにちは、遠山といいます。宗一郎を飼っていたんですが、去年突然いなくなってしまいましてね。必死で探していたんですが……。
 あなたが宗一郎の面倒をみて下さっていたんですね。本当に有難うございました」

ご主人はシロに丁寧にお礼を言った。


「いえ、僕は……何も……」


シロは拳を握りしめ、搾り出すように声を出した。