僕は青ざめた。

“ごみ箱”?

まさか、本当に……?


 首を伸ばして見ると、ここからそれほど遠くはないところに、子イヌの言う塔が見えた。


「君はこんな小っこいのに、ひとりで逃げて来たのかい?」

子イヌは小さくうなずいた。

僕は切なくなった。

「よく頑張ったな」

僕は子イヌを褒めるように、なめ続けた。


子イヌは僕の存在に少し安心したようだったけど、心の内では、母さんと兄弟の行方を心配しているに違いなくて、それを思うと本当に哀しかった。


この子のママや兄弟が、一体何をしたと言うんだろう?