実は、僕も今、迷っていた。
僕は結局、シロのオバアチャンの家で、飼い犬として過ごしていたから。
僕がここで楽しめば楽しむほど、優しかったご主人を裏切っているようで、とても複雑だった。
僕はなぜ、ご主人と奥さんを信じられなかったのだろう?
僕は一度だって哀しい思いをした事はなかったのに。
僕は勝手なことをした事を、ただ謝りたかった。
僕が少し大きくなった今だから、こうして気付けた事なんだけど。
だけど、今さら何事もなかったように、ご主人の元に帰れるわけはなかった。
とにかく、僕が成長したのかは分からないけれど、少しづつ変わっているのは確かだった。