僕はとうとう、シロがユウコサンをデートに誘うのを聞いてしまった!
「……本当?…うん、分かった。じゃあまた、連絡するから…
……うん、ありがとう。……うん、じゃあまた…。……うん、おやすみ」
そして、ユウコサンからは、OKの返事をもらったようだった。
相変わらずぶっきらぼうな、シロらしい電話だった。
だけど、電話を切ると、今まで僕が見た事がないようなニヤけた顔に変わり、
「クロォ〜ッ!」
と言って、僕に思い切り抱き付いてきた。
嬉しいんじゃんっ!
…でも、僕も嬉しい!
シロがちゃんと自分から誘うなんて!
幸せに近づく為には行動するしかないこと、自分が変わるしかないことを、シロは既に知っていたのだ。
そして、シロは僕が思う以上に強くなっていたのだと思う。
シロはフニャフニャになりながら、やっと家の中に入って行った。
僕は温かい気持ちでシロの背中を見送った。