そして、またしばらく沈黙が続いた後、シロがゆっくり話し始めた。

「恥ずかしいけど、俺もその内のひとりなんだよ……」


「俺、高校卒業してすぐ建設会社に就職したんだけど、全然仕事が覚えられなくて、怒られっぱなしだったんだ。
 俺は高卒だし、頭が悪いんだと開き直って、結局仕事を辞めてしまった……
 本当は“それでも頑張りたい”と思える仕事に就かなかった、俺自身の問題なのにな」


ユウコサンは優しく言った。


「私にも“自分にはとりえがない”って決め付けて、考える事すらしない時期があったわ。それに気付けたなんて、私たちも少しは成長したのかしらね?」


「成長か……」


ユウコサンはフフッと穏やかに笑った。


「ツヨシくんなら真面目に話を聞いてくれるかなーって思ったんだ。持って来て、本当によかった!」


「ちょっと照れ臭いけどね。でも、なんかこういう話を真面目に語るのも、楽しいもんなんだね」


シロはユウコサンに、ぶっきらぼうに、でも一応笑顔で、お礼を言った。