雪は雨と違って、全く音がしなかった。
それどころか夜の静寂を更に極め
張り詰めた薄いガラスの板のように緊張感のある静けさを作り出していた。
雪は、その中をシンシンと降り
さっき落ちた雪に次々に重なりながら
どんどん、どんどんと、積もっていった。
僕はその様子をじっと見つめていた。
雨は、僕に
『考えなさい、悩みなさい』
と言っていた。
雪は、それとは反対に、
『考える事をやめなさい』
と言っている気がした。
それらは、天から降りてきた僕へのメッセージに違いなかった。
なんていう安心感なんだろう。