ショコラには今、心配事があった。

それは、ショコラの子ネコたちの事だった。

“ご主人は合わせて5匹のネコを家に置いてくれるのだろうか?”

ということだ。

ショコラは、あの“ごみ箱”を恐れていた。



「俺たちは子どもを授かった事を普通に喜んでいたんだけど、これからの事を全然考えてなかったんだよな。
 やっぱり俺が子どもを連れて家を出て、子どもが大きくなるまで育てるしかないのかな」

とショコラは言った。


驚いた僕は、

「大丈夫だよ! あんな可愛い子ネコたちが棄てられるわけないじゃないか!」

と思わず叫んでしまった。

ショコラは黙って遠くを見ていた。


「大丈夫だよ……」

そう繰り返し言う僕の言葉には、何の根拠もなかった。

だから、僕の言葉だけでショコラを安心させることなんて、出来るとは思わないけど。


でも、これは断言できる気がした。

「だって、ゴミじゃないでしょう?」