――で、お恥ずかしいのですが、僕はまだシロのオバアチャンの家に居候していた。
僕は何度かオバアチャンの隙をみて、神社の脇の僕の寝床の小屋に戻った。
だけど、その度にシロが僕を探しに来た。
僕は“とりあえず戻ろう”を繰り返し、結局いまだにここに留まっているのだった。
オバアチャンは僕にシャンプーをしてくれたり、あれこれ優しく世話をしてくれた。
今朝は無理やり病院にも連れて行かれ、注射を打たれた。
シロはシロで、
「お守りだ」
と言って、何やら細い布を僕の首輪にギュッとくくりつけた。
僕の自慢のカッコイイ首輪は、何だか一気に庶民的な感じになった。
でも何だかふたりに守られているようで、僕は久しぶりにヒトに甘えたくなった。
ご主人の奥さんが着けてくれたブカブカの首輪は、いつの間にか僕の体にすっかり馴染んでいた。