少しだけ道を戻り、近くにあった公園に入る。

暑い日差しの中だから遊んでる人は居なくて、海へ向かったであろう人たちの車が数台公園脇に止まっているだけだ。


「何か飲もうか」


私を日陰に残して良明くんは歩き出す。
蝉の鳴き声がいっそう暑さを感じさせる中、遠くの空を見た。


(…どう話せばいいのかな…何から話そう?)


上手く話せる自信が無い。話してる途中で泣いてしまうかもしれない。
良明くんに迷惑かけてしまうかもしれない…。


「美和ちゃん、平気?」

「あっ…」


ふっ、と視界に入った良明くんは心配そうに私を見てる。
私、ずっと心配ばかりかけてるな…なんて感じてしまう。実際、それが本当のことだ。


「ごめん、平気…大丈夫」


私の言葉に優しく笑い、良明くんはペットボトルのお茶を差し出した。
もう片方の手にはスポーツドリンクがあり、それを少し飲んでから隣に来た。


「冬馬さんと麻実が原因ってことは、あの二人恋人同士?」


…相変わらずの直球。だけどそう言ってくれたから、私自身は話しやすくなる。


「…さっきね、冬馬兄ちゃんと麻実ちゃんが一緒に居て…楽しそうに話してた。
二人とも、日曜日は予定があるってしか言わなかったから…私に隠して会ってたんだ。多分、前からずっと」


二人の姿を思い出すと胸が苦しくなる。
お茶を少しだけ飲み、言葉を、思いを伝える。


「馬鹿みたいだよね、ずっと麻実ちゃんに相談してたなんて…。
私の気持ち、全部話してたなんて馬鹿みたい」


本当に馬鹿だ。
…麻実ちゃんはどんな気持ちで私を見ていたんだろう?それを考えると凄く怖い。


「どうしたらいいのかわからない。
私…もう二人の前で上手く笑えない」


涙がひんやりと頬を伝う。
それを良明くんは優しく拭い、そっと頭を撫でてくれた。


「本人たちに直接聞いたわけじゃないんだろ?
なら、確かめよう」


良明くんは言い、そして私を見つめた。