街の中心。駅前でバスを降りる。
ここでそのまま待っていれば、帰りのバスがすぐやってくる。

いっそこのままどこか遠い町にでも行っちゃおうか?
そうすればあの二人の“未来”を見なくて済む。
私が居なければ、きっともっと堂々と、幸せになってくれるはず。


「あれ?こんなとこでどうしたの?」

「え…」


背後から聞こえた声に体が硬直する。
まさか冬馬兄ちゃんたちが…と、ゆっくり振り返ると、そこに居たのは心配そうに私を見る良明くん。
近くには友達が3人居る。

良明くんは友達と何かを話す。それから、良明くんを残して3人は人混みへと消えていった。


「どうしたの?何かあった?」

「…私、そんな顔してる?」


頷く良明くん。
やっぱり顔に出やすいんだなぁ、なんて他人事のように空を見た。


「…ちょっと、見たくないもの見ちゃって」


と、そう言ったら良明くんは少し考えて…私の手を掴んだ。


「…俺も見たことある」

「え…」


凄く真面目な顔で、次の言葉を出す。