……。
無言が続く中、冬馬兄ちゃんがため息をついた。
それを合図とするかのように麻実ちゃんが私を見る。
「…偶然会ったのはホントだよ。
冬馬さんと話したいことがあったから…公園に誘ったの」
本当か嘘かわからない麻実ちゃんの言葉。
だけど麻実ちゃんが笑うから私も笑う。
「…美和、私帰るね。
冬馬さん、美和のことよろしくお願いします」
冬馬兄ちゃんに深々と頭を下げた後、麻実ちゃんは手を振って行ってしまった。
二人は本当に、偶然会っただけ?
それとも、私に言えない何かを隠してる…?
「美和」
私を呼ぶ冬馬兄ちゃんはやっぱり少し困ったような顔、だけど笑顔を作り言葉を繋げる。
「もう暗いから、帰ろうか」
優しい言葉。
二人が話してるところを見ていなければ、純粋に…嬉しく感じたはず。
だけど今は、その優しさがニセモノに見える。
私の顔色を窺っているような、そんな感じに見えてしまう。
「…ちゃんと家まで送り届けてね」
なんとか出した言葉。
それを聞いた冬馬兄ちゃんが手を差し出し、私はそれを静かに握る。
(…二人は何を話していたんだろう?
これから先、どう接していけばいいんだろう?)
答えが見つからないまま歩き出す。