海の家で働くのは僅かに4名。
旅館従業員の星村(ホシムラ)さん、それからアルバイトの啓子(ケイコ)さん。そして私と良明。

料理を担当するのが星村さんで、私と啓子さんが接客。注文が多い時はどちらかが星村さんと一緒に料理を作り、残った一人が接客、後片付けをしていた。
時々如月さんや他の従業員が手伝いに来てくれるけど、それでも長時間こちらに居ることは難しい。
まさに地獄のような毎日…。


「で、俺は何をすればいいの?」


腕まくりをしてタオルを頭に巻く良明。やる気満々だけど…いつまでそれが続くか少し心配だ。


「お皿洗ったり空き瓶の片付けとか空いた席の掃除。
出来ることはなんでもやって?私たちもそうしてる」


客は次から次へとやってくる。
素早く行動出来るかどうかが鍵となる。


「なるほど、こりゃあ確かに大変だ」


そう呟いた次には、もう星村さんのところに行って挨拶をしている。
今度は啓子さんのところへ行って同じように挨拶。
それからテキパキと仕事をこなしていく。


「カレ、なかなか頑張ってくれてるね。
年下って甘えてくるイメージだけど、カレは引っ張ってくれる感じで凄くいいね!
麻実ちゃんの彼氏じゃないのなら、私立候補しちゃおかな」


コソッと言いに来た啓子さんはすっかり良明が気に入ったようだ。
笑顔を忘れず元気に働く良明。
そんな良明をいつの間にか啓子さんだけじゃなく、女性客の多くが目で追っていた。